日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(63)が、自ら「おかしいと思われるような交代」も繰り出す余裕の采配で大勝を呼び込んだ。左FWで先発起用したMF原口元気(24=ヘルタ)を5点リードの終盤、突然右サイドバック(SB)に下がるよう指示。一方的な展開で自在にタクトを振った。怒りと失望の6月シンガポール戦から切り替えて2連勝。“ハリル怒りのアフガン”ではなく、余裕のアフガン戦で試合を終えた。
誰もが驚いた。左FWが対角線上に下がって右SBに入ったのだから。後半25分。ハリルホジッチ監督の一手はDF酒井宏に代えてFW宇佐美の投入だった。これに伴い原口に右SBに下がるよう指示。まさかのポジションチェンジ。1度はMF長谷部が下がろうとするなど、ピッチの選手も混乱させた。DF森重は、ベンチに向かって3本指を立て「3バック?」と確認するほどだった。
「おかしいと思われるような交代もして、かなり攻撃的に働きかけました。右SBに変えたのはリスクを負ってもいい点差で、センタリングを多くしたかったから」。会見では質問されるより先に、驚きの一手を説明した。所属のG大阪で右SBのDF米倉を左SBで起用したり、クラブの常識がハリルの常識と違う、一風変わった起用もする。点差もあり、これが成功か失敗か、判断はつかない。ただ好きに采配できた試合展開は久しぶりだった。
左FWでプレーしていた原口、2得点のMF香川と、海外組が力の差のある相手に仕事をしてくれた。国内組で史上初、まさかの最下位に沈んだ東アジア杯直後、慌てて腹心のボヌペー・コーチを欧州視察に向かわせた。その焦りに比べれば、この日の采配にどれだけ余裕があったかがよく分かる。「素晴らしい勝利。6点取るのは簡単ではない。選手にはブラボー! と言いたい」とたたえた。
序盤は引いた相手の、3戦連続となる赤いユニホームの“赤い壁”に少し苦しんだ。決定力不足解消への「ソリューション(解決法)」が機能したというより相手が弱かった。「選手は残念ながらクラブに帰らなきゃいけない。一緒に練習できなくて残念だが、オマーンで3日間くらいしっかり準備したい」。10月、同じように中立地で開催されるシリア戦を見すえた。ハリルジャパンは9月、格下相手の2連戦でやっとひと息ついた。【八反誠】

