サッカー日本代表は今日8日、中立地のオマーンでW杯アジア2次予選E組のシリア戦に臨む。FW本田圭佑(29)は、所属のACミランでの4日ナポリ戦後の発言が、大きな反響を呼んでいる。これまでもインパクトある発言の直後ほど結果を出してきた。2勝1分けの2位日本と3戦全勝の1位シリアとの首位攻防戦。今回も言葉と結果をもって、世に「本田哲学」を知らしめる。チームは試合会場で冒頭の15分間以外を非公開として約1時間半、調整した。

 8日、マスカット市シーブスタジアム。カラフルな座席に彩られた会場のピッチを、本田が厳しい表情を崩さずに走った。「チーム(ACミラン)があまりいい状態ではない。それを個人的に取り返すためにも、代表では結果を求めてやりたい」。試合に向け早々に緊張感を高めた。

 0-4で大敗した4日のナポリ戦後。本田はクラブ批判、監督批判と取れるコメントを残した。その直後。どんな言葉を語るのか。7日の取材エリアには、本田を迎え入れる前から緊張感が漂っていた。それも想定していたのだろう。本田は「行動に移す時には、ただ行動しているわけではない。目指すところから逆算して行動をとっている」と言った。「それにふさわしくない行動はとりたくない。それが自分のフィロソフィー(哲学)。自分の正義を貫くことが、自分であり続けるためにも必要なこと」。しっかりと真意を伝えた。

 「結果を求めてやりたい」という言葉も、掛け声などではない。これまでも、公の場で思い切った発言をした直後ほど、結果を示してきた。10年の南アフリカW杯直前には「できれば守備はしたくない」と公言し、物議を醸した。その上で16強進出の原動力になった。

 CSKAモスクワ在籍当時の12年6月には、MF香川がマンチェスターUに移籍したことを受け「自分もビッグクラブにふさわしい選手」と言い切った。そして3日後のW杯予選ヨルダン戦では、後半8分までにハットトリックを決めた。

 「不安なら毎試合ある。しっかりやらないといけないという危機感」と本田は言った。あえて自分に重圧をかける。あえて衆目を集める。すべて考えがあってのこと。こんな時こそ結果を出し「哲学」にさらなる重みを加える。

 ◆本田の4日ナポリ戦後の発言 出場なしの試合後、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで約7分間語った。「この敗戦から何かを学ばないと、いつまでたっても(チーム)再建というのは程遠い」「選手が気付いていてもこのチームは変わらない。やはりトップの人間、経営陣が気付く、そして監督が気付く、選手たちが気付く。と同時にファンたちも気付いていかないと」。ミハイロビッチ監督が選手の精神面を問題視していると問われると「それはどういうことなんですかね。選手に責任があるという話をしている時点で、ナンセンスだと思う」。最後に「イタリアのメディアに伝えておいてください、僕の話したことを」と締めた。