日本代表のFW本田圭佑(29=ACミラン)が、W杯予選4戦連発を決めた。前半26分に流れるような攻撃から、左足で2点目をねじ込んだ。日本はFIFAランク152位の格下シンガポールに敵地で快勝。W杯予選の4戦連発は、85年のW杯メキシコ大会のアジア予選で木村和司が決めて以来、日本サッカー史上2人目の快挙となった。
いつものように左足で決めたゴールは、いつもとは違う記録的な1発になった。1点リードの前半26分、敵陣で華麗にパスが流れた。ゴール前へ走り込んできた本田は、こぼれたボールを左足で蹴りこんだ。相手DFに当たったシュートは、そのままゴールへ。日本待望の2点目だ。開閉式の天井までシンガポールカラーの真っ赤に染まった場内は、敵のサポーターをも巻き込んだ大歓声に包まれた。
W杯予選に限れば9月3日のカンボジア戦から4戦連発だ。85年の木村和司以来30年ぶり史上2人目の快挙。カズも、ゴン(中山雅史)でさえもなし得なかった記録だ。試合後、スタジアム地下にある取材エリア。本田は報道陣の取材を受けずに歩き去った。ピッチ脇で行われたテレビインタビューではこう語った。
「追加点を取ってチームとしては落ち着けた。(個人的に)全然良くなかったです。内容は反省するところばかりですけど、アウェーで勝たなければいけなかった。でも勝ちは勝ち」
天才ではない。ただ、たゆまぬ努力をするという意味では、誰もかなわないほどの才能を持ち合わせている。食事の際にタオルを床に敷き、足の指で手繰り寄せる動作を繰り返す。足が遅いことを自覚し、地面をつかむ感覚を足に覚えさせることで、少しでもスピードをつけようとしているのだという。以前、こんなことを漏らした日がある。
「メッシが天才だとみんな思っていますよね? でもメッシでさえ、誰よりも努力をしている。だからメッシになれるんよ。努力をしないで天才になれる選手は、俺はおらんと思う」
所属のACミランでは、これまで味わったことのない壁にぶつかっている。先発を剥奪され、ここ1カ月の出場時間は1試合10分程度。代表に合流した9日には「こんなにベンチに座った経験はないんでね」と自虐的に話した。反骨心を力に変え、この日は前半20分の先制弾の起点を作るなど2点を演出。予選E組首位に立つ原動力になった。
W杯予選5戦連発がかかる17日のカンボジア戦へ。逆境でも輝きを放つのが、本田らしい。【益子浩一】

