U-23(23歳以下)日本代表がリオデジャネイロ五輪で活用する24歳以上のオーバーエージ(OA)枠候補として、日本協会が広島DF塩谷司(27)をリストアップしていることが19日、分かった。本職のセンターバック(CB)だけではなく、右サイドバック(SB)もこなせる万能型。川崎FのCB奈良竜樹(22)が左脛骨(けいこつ)骨折で本大会絶望となった中、穴を埋める以上の存在としてOA候補に急浮上した。

 広島で昨季J1制覇の立役者となった塩谷が、OA枠のリストに入っていた。FW大久保(川崎F)、DF藤春(G大阪)に続き日本協会が水面下でクラブ側と接触したことが判明。Jリーグ関係者によると、招集の可能性があると非公式の打診があったという。手倉森監督が本大会メンバー18人に求める、複数ポジションをこなす人材としても合致。代表入り当確とみられていた奈良の負傷で、OA招集の可能性が相対的に高まった。

 88年生まれのロンドン世代。世代別代表の経験がない雑草だが、A代表には14年10月に初招集された。3バックの広島とは異なる4バックのCBとしてジャマイカ戦でデビュー。無失点に抑え、当時のアギーレ監督から「パーフェクト」と絶賛された。続くブラジル戦では、リオ五輪にOA枠で出場予定のFWネイマールとマッチアップ。4得点を許した苦い経験を糧に世界への意欲を高めていた。

 直接FKも蹴ることができる攻撃的DFとして、15年1月にはアジア杯メンバーにも選ばれた。ハリルホジッチ監督も才能を高く評価。昨年8月の東アジア杯は負傷で辞退したが、同10月のW杯ロシア大会アジア2次予選で代表復帰した。

 手倉森監督は11日のガーナ戦後、OA枠について「CBとボランチの選手層は申し分ない」との認識を示し、補強ポイントに「負傷が相次いでいる中列(攻撃的MF)とSB、FW」を挙げた。ところが、その3日後にCB奈良が全治4カ月の骨折。「これも縁」と強調しながらも、人選の再考を余儀なくされていた。

 U-23代表はトゥーロン国際に出場中。奈良に代わって三浦が追加招集されている。代役の台頭に期待する一方で、協会担当者はOA枠の活用も検討。同候補として、最終予選後の1月には協会側が鹿島DF昌子らの調査も進めていた。

 ◆塩谷司(しおたに・つかさ)1988年(昭63)12月5日、徳島県小松島市生まれ。徳島商-国士舘大。高校1、2年時にMFとして全国選手権出場。大学時代にCBにコンバートされて花開き、11年に水戸入団。12年8月に広島へ完全移籍し、13年はリーグ全34試合に先発出場して連覇に貢献した。14年、15年のJ1ベストイレブン。182センチ、80キロ。血液型O。