オーストラリア(A)リーグ日本人第1号選手となった今矢直城氏(36)が、オーストラリアの強さの理由を明かした。05年に発足したAリーグでニュージーランド・ナイツの一員としてプレー。10歳から現地で生活した経験を踏まえ、オーストラリアの強いフィジカルと臨機応変に戦う柔軟性は、学校教育で培われたものだと解説した。

 屈強な身体能力がオーストラリアのベースにある。今矢氏はその理由の1つとして学校教育を挙げた。

 今矢氏 学校の体育でいろんな競技をやる。当然、人気のラグビーはやるし、そこでは度胸が生まれる。いろんなスポーツをやって反射神経が備わっていく。教育のところにヒントはあると思う。

 クリケット、ラクロス、ホッケーに競歩。あらゆる競技を行い身体能力を培う。もともとラグビーが本場の国。だからサッカーでも好まれるのはフィジカルが強い「戦える選手」だ。

 今矢氏 1対1でやられないこと。削ってでも戦う覚悟があるのか。つぶしてでも奪う覚悟がないと使われない。戦術理解度も意外と高いと言われている。

 かつてオーストラリアを指揮し、日本や韓国でも監督経験のあるピム氏の通訳を務めた際に言われた。「オーストラリアは1日前の合流でも何の心配もない。戦術理解度が高いから5分、10分のミーティングをすれば自分が求めていることをやってくれる。1から10まで説明しないといけない韓国や日本とは違う」。ピッチの中で何をすべきか臨機応変に対応するのも幼少期から培われたこと。

 今矢氏 授業では自分で考えないとどうしようもないタスクばかり与えられる。「来週、5分間プレゼンやる。テーマはなし」とか「模型をつくってきて。なんでもいいから」と。何をやるにも自分で考えてやらないと誰も手伝ってくれない。だから日本が「こうやってくる」と決めつけてかかると裏をかいてくる柔軟性はある。そういう国民性。

 強いフィジカルと柔軟な対応力。両極端な2つが、日本の厄介な敵になる。【栗田成芳】

 ◆今矢直城 いまや・なおき。1980年(昭55)6月18日、兵庫県生まれ。10歳からシドニーで生活。Aリーグの前身NLSでプレー。03年スイス1部ザマックスで欧州リーグ出場。05年発足Aリーグで日本人1号選手。現在は関東2部リーグ早稲田ユナイテッド監督。