W杯アジア3次予選のオマーン戦の快勝から一夜明けて、岡田ジャパンに暗雲が立ちこめた。日本代表の守備の要DF田中マルクス闘莉王(27)が3日、右太もも裏痛でMRI検査を受けた。2日の試合で痛め、7日のアウェーでのオマーン戦出場が微妙になった。DF阿部勇樹(26)も両足首痛で離脱が決定。DF高木和道(27)を追加招集したが、守備力が求められるアウェー決戦に不安を抱えた。日本代表はこの日、横浜市内で練習後、関西空港に移動してオマーンへ出発した。

 勝利の余韻に浸る余裕はなかった。オマーン出発直前の練習後、岡田監督が明かした。「闘莉王も(右)太ももに違和感があるので、今日MRI検査を受けさせた。肉離れはしていないという診断だったが、次の試合ができるかは微妙」。チームドクターによると同個所の炎症。午前中に発表されたDF阿部の両足首痛による離脱に続き、守備の要の欠場の可能性まで示唆した。

 2日のオマーン戦で痛めたという。中沢とのセンターバックで完封。シュートをわずか3本に抑えた。しかし、その代償は大きかった。昨年末に痛めた左太もも裏をかばいながら、プレーしてきたツケが右足に出た。岡田監督も「ハムストリングス(太もも裏)は長引くと怖いし」と不安を隠せなかった。

 アウェー戦は安定した守備力が必要になる。特に初戦で日本に完敗したオマーンは捨て身で攻めてくるはず。それだけに堅守と統率力を誇る闘莉王の存在は大きい。特に闘莉王-中沢の強力コンビは出場した6試合中5試合で無失点。2人の連係もうまくいっていた。身体能力の高い寺田が控え、高木も追加招集したが、修羅場の経験では闘莉王には及ばない。

 バーレーン戦(3月26日)の敗北から、復活の兆しをみせた直後に、主力守備陣の離脱と故障。3戦を残し、岡田監督の不安はいまだ尽きない。病院での検査を終えた闘莉王は「出血はなかった。たぶん出られるとは思う」と話した。決戦まであと4日。結論を出すまでもう少し時間がかかりそうだ。【栗田成芳】