「ザック教室」でサムライブルーに定着だ!

 日本サッカー協会は27日、6月のキリン杯に出場する日本代表25選手を発表した。MF柴崎晃誠(26=川崎F)MF西大伍(23=鹿島)とともに、G大阪の19歳FW宇佐美貴史を初選出。アルベルト・ザッケローニ監督(58)は9月に始まるW杯ブラジル大会アジア3次予選へ向け、期待の宇佐美を英才教育で成長させる。東日本大震災後初の国際試合となる大会は、6月1日(東北電ス)にペルー代表と、同7日(日産ス)にチェコ代表と対戦する。

 普段はクールを装う19歳も、さすがに喜びを隠せなかった。「G大阪の至宝」と呼ばれる宇佐美が、ついにサムライブルーのユニホームに袖を通す。この日正午すぎ、電話で第一報を聞くと思わず声が上ずった。ジュニアユース時代から数々の「飛び級」を繰り返してきた天才にも、やはりA代表は格別だった。

 宇佐美

 早かった。20歳になって選ばれればいいかな、と思っていた。A代表なんでまったく重みが違うし、積極的にアピールしていきたい。こういうチャンスをどんどんつかんでいける選手が、上にいける選手。縮こまらずにやっていきたい。

 不調に陥っていた今季、ザッケローニ監督はすでに6度も視察に訪れた。この日、指揮官は「今のパフォーマンスは代表チームに値しない」と厳しく言いながら、期待の言葉を続けた。「昨季から見てきて、いいクオリティーを持っている。19歳で伸びしろがあるので、成長する時間を有効に利用してほしい。それができれば今後A代表に入れる。妥協せずに努力を続けてほしい」。手元に置いて少しずつ、ザック好みの選手に仕上げる狙いだ。

 14年W杯ブラジル大会は22歳になっている。残り3年。「本人にも早く完成型に近い選手になるよう直接伝えたい」というイタリア人監督の期待に、宇佐美も「やっぱ突破力だったりフィニッシュが持ち味。積極的に仕掛けてシュートに持っていきたい」と気合は十分。指揮官直々の「英才教育」で、さらなる飛躍を目指す意気込みがある。

 6月1日のペルー戦は19歳26日で迎える。出場すれば歴代5番目の若さ、さらに得点すれば77年6月の韓国戦で19歳119日だった金田喜稔(中大)がマークした「Aマッチ最年少ゴール」の記録も塗り替える。宇佐美は「今までいろんな記録をつくってきたけど、意識したことはない。自然にやりたいと思います」と力を込めた。才能と明るい未来が詰まったプラチナ世代のエースが、ザックとともに日本の顔へと駆け上がる。【近間康隆】