昨季3冠のG大阪が、アジアの壁にぶつかった。今季開幕となる1次リーグ・広州富力(中国)戦はホームで完敗で、F組最下位発進。序盤に失点し、攻撃陣もFW宇佐美、MF遠藤ら大黒柱が封じ込まれた。初戦黒星を喫した06、12年大会はいずれも決勝トーナメント進出を逃している。08年以来のアジア制覇へ暗雲が漂った。

 これが現実か-。突き刺すような冷たい風が、G大阪の選手の体を打った。3冠王者として迎えた今季開幕戦。黒星スタートに本拠地万博は静まり返った。警戒していたはずの敵エースFWハメドアラーを止められない。逆に大黒柱の遠藤、宇佐美は完全に封じられた。08年のアジア覇者と初出場クラブの対戦は、まさかの結末だ。それでも長谷川健太監督(49)は、あえて冷静に振る舞った。

 「1発のカウンターから(失点し)ブロックを作ってきた。そこを崩せなかったのがやられた原因。ちょっとしたところのズレ、試合勘がなかったのはある」

 実戦不足を露呈した。2月に入ってからは宮崎合宿中の5日に蔚山現代、13日に横浜と練習試合2戦をこなしただけ。例年に比べ、開幕前の試合機会が減少。3季ぶりのACL参戦で過密日程に配慮したためだったが、直前調整を最小限にとどめたことがもろに影響した。プレーオフを経て、出場権をつかんだ広州富力との実戦勘の差は歴然。明らかな準備不足だった。

 前回出場した12年からACLは4連敗。過去、G大阪が初戦を落とした06、12年はいずれも1次リーグで敗退した。厳しい現実にも長谷川監督は「これで選手も目が覚めると思う。ここからプレーの質を上げて、予選を通過できるようにしたい」。遠藤主将は「(攻撃で)もうひと工夫足りなかった。今日、学んだことを次までに対応できるようにしたい」と言った。08年以来のアジア制覇へ、3冠王者がいきなりつまずいた。【益子浩一】