南の島のグループ首位快走劇の裏には、日本の10年来のサポートがあった。グアムサッカー協会のリチャード・ライ会長が28日、東京・本郷のJFAハウスで会見を行った。グアム代表はW杯2次予選で、開幕からトルクメニスタン、インドに連勝。勝ち点6でD組首位に立っている。このことについて同会長は「なぜグループトップでいられるかを説明したい」と切り出した。

 ライ会長 12年間、私たちは日本サッカー協会からいろいろな支援を受けてきました。13年前にサッカー協会の会長に就任したころ、サッカーは11対11で楽しむもの、という程度の認識でした。そのころに当時の日本協会の会長、岡野俊一郎さんにお会いしました。そして02年のW杯に招待され、観戦できた。サッカーとは大きなことで、その中で我々は小さな存在と感じました。それでも岡野会長は「日本も昔はそうだった。協会のスタッフも10人程度で予算もなく、サッカー専門誌もなければ、新聞も試合の様子をまったく報じてくれなかった」と話してくれました。

 日本協会は直後の03年に、神戸清雄監督をグアム代表の指揮官として派遣。当時は技術委員長もいなかった同国協会に、強化のノウハウを提供した。

 ライ会長 神戸さんは10年計画をつくってくれた。それにそって、日本の支援も受けながら、ここまでやってきた。当時東アジアサッカー連盟が立ち上がって、我々はそこに代表チームを派遣した。当初は大差で負けてばかり。5試合で50点を奪われ、1点も取れなかった。1点奪われるたびに、胃にナイフを突き立てられるような気持ちになったのを思い出す。それでも川淵さんたちは「未来に目を向けるべき」と励ましてくれた。神戸監督は2年強、グアムに滞在してくれた。彼は「10~12歳を鍛えよう。その年代は各国で力の差はない。そこからどういう指導を受けるかだ」と指針を示してくれた。在任の間に14歳以下の世代では、マカオ、モンゴルには勝てるようになった。いつか花が開くと思った。

 後任の築舘監督時代の09年には、東アジア選手権の2次予選に進出。その後、リーマン・ショックのあおりで米国ビザが取得しにくくなり、日本からの監督派遣は11年に終了した。しかし後任のホワイト監督が日本でS級指導者ライセンス講習を受けるなど、形を変えて支援は続く。そして今年、W杯2次予選でグアムはトルクメニスタン、インドに連勝。グループ首位に躍り出た。

 ライ会長 かつてグアムはFIFAランク最下位近くにいた。当時小倉さん(現日本協会名誉会長)からは「グアムが中位グループにきてくれれば、上位グループを押し上げてくれて、アジア全体のレベルが上がる。だからがんばってほしい」と言われました。今、グアムは親善試合で、かつて16点差で負けた香港に0-1と迫り、シンガポールにも2ー2と引き分けた。今後のW杯予選でも、かなりのことができるのではないかと期待しています。

 グアム代表は25日から、Jグリーン堺(大阪)で合宿中。30日に日本を立ち、イラン・テヘランでW杯2次予選イラン代表戦に臨む。