盟友に贈る-。仙台は明日21日、アウェーで湘南と対戦する。2トップの一翼として先発出場が濃厚なMF野沢拓也(34)が、最年長コンビの相方MF梁勇基(34)のJ1通算200試合達成のメモリアルゲームを白星で飾るべく奮闘を誓う。同学年で互いを認め合うベテラン同士。昨季J通算350戦出場の大台を超えている野沢は「リャン(梁)のためだけじゃないが、目の前の試合に勝つことが大事」と静かに闘志を燃やしている。

 チームの鍵を握る男だ。19日、2日連続で行われた紫山練習場でのトレーニングを終えたFW野沢は「調子うんぬんは他人の判断だから」と客観的に答えたが「個人の問題よりチームが勝つことがいちばん大事」と、勝利への思いを口にした。

 仙台3季目となるプロ17年目の34歳。胸中にあるのは「仙台を勝てるチームにしたい」というシンプルな思いである。鹿島時代、百戦錬磨の“天才”と呼ばれた元日本代表MFは「口だけで言ってても勝てない。やるのはピッチにいる俺たち。やれるかどうか、いつもただそれだけ」。今季1号を決めた神戸戦のゴールでキング・カズ(現横浜FCのFW三浦)らに並ぶJ1連続シーズン得点記録(13年連続、6位タイ)をマークするなど、プレーの質は変わらず高い。チームの現状について「やりたいことができているので、あとは精度の問題。前節(大宮戦●0-1)で悔しい思いをした分を次の試合へつなげる」と淡々と話した。

 ぶっきらぼうな仲間思いだ。決して愛想が良いタイプではないが、仲間への思いとサッカーに対する情熱は深い。そんな野沢がチームで「いちばん信頼できる」と評価するのが梁。「ボールを持てるし梁はうまい。リスペクトもしてる」という攻撃的MFは、明日の湘南戦に出場すればJ1通算200出場を達成する。盟友の記念試合を飾るためにも「勝たないといけない」と気持ちを入れて臨む。

 仙台で「鹿島時代とは別人かってくらい変わった」と変身した。「仙台ではBチーム(サブ組)の若手と一緒にやることも増え、俺とか梁みたいになりたいって思って欲しいし、夢を持って欲しいと思うようになった。梁とか俺らが引っ張って若手を勝たせてやりたい」。盟友とともに、勝利を目指す。【成田光季】