J2清水が深刻な状況に陥った。アウェーで20位(前節終了時)の東京Vに1-2。今季初の連敗だ。前半6分にMF白崎凌兵(23)が先制するも、同終盤に2失点した。DF角田誠(32)ら最終ライン3人が今季初出場。小林伸二監督(55)の大胆采配は裏目に出て、チームの歯車は狂い続けている。首位札幌とは勝ち点10差に広がり、10位に転落。1年でのJ1復帰が遠のいてきた。

 「急造チーム」はもろかった。前半6分、MF白崎の今季初ゴールで先制。だが、ロングボールで最終ラインの背後を突かれ始めると、リズムを崩した。同44分に失点。ロスタイムには追加点を献上した。後半も効果的な攻撃ができないまま、力負けした。前節ホーム徳島戦と同様に、サポーターにブーイングを浴びた。アウェーに約2500人が駆けつけたが、失望だけが残った。

 小林監督は「システムを変えながらトライしたが、残念な結果になってしまった」と言った。今季初出場の角田、ヤコビッチ(30)、松原后(19)のDF3人を含め、前節から7カ所もポジションをチェンジ。U-23日本代表DF三浦弦太(21)とケガで離脱中のDF犬飼智也(23)が不在とはいえ、一部には試合直前での変更もあり、高いリスクを負っていた。

 選手も戸惑っていた。白崎は「自分自身も含めて、どうしたらいいか整理されていなかった」。角田も「自分たちで修正しきれなかった」とうつむいた。後半33分にFW鄭大世(32)を投入するや、4-4-2から4-1-4-1に変更した。練習で1度も試していない布陣を唐突に採用。小林監督の「迷走」が、選手の混乱を引き起こした。

 今季初の連敗を喫し、順位は10位に後退。下位チームとの勝ち点差も縮まりつつあり、J1昇格争いどころか、今後一気に転落する可能性もある。左伴繁雄社長(60)は、小林監督の解任を否定したが、このままでは進退問題に発展しかねない。過去3クラブをJ1に昇格させた指揮官は「リカバリー(修正)して前に進みたい」と言ったが、その指導力が問われている。【神谷亮磨】