Jリーグは20日、東京・JFAハウスで会見し、17年からの放送権について、スポーツのデジタルコンテンツ事業を展開するパフォーム・グループ(本社英国)と10年、2100億円超の契約を結んだと発表した。当初、5年総額500億円とみられたが、最終的に期間は2倍の10年、放送権料についてもJリーグが中継制作を請け負うことで1年210億円超、日本のスポーツ界では類を見ない超大型契約となった。

 Jリーグが10年2100億円超の放送権契約を結んだ。現行のスカパーJSATなどとの年間約50億円から、1年単位の比較でも4倍超。Jリーグによると日本のスポーツ放送権料で過去最高額となる。

 パフォーム・グループが提供するスポーツのライブストリーミング(動画視聴)サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」内でJ1、J2、J3の全試合が生中継される。村井チェアマンは「スポーツの新しい観戦スタイル。いつでも、どこでも、何度でも見ることができる」。テレビ中継主体からインターネット配信へと一気に方向転換。世界のサッカー界でも前例がないという。スマートフォンや携帯端末で手軽に視聴できるようになる。ファン層の拡大も狙う。

 Jリーグは11月に法人化25周年の節目を迎える。新たなパートナーと、新時代に踏み出す。村井チェアマンは会見冒頭「大転換点」と強調した。巨額の放送権料はさまざまな良い変化を生む。クラブへの配分金はJ1勢に手厚くなる。規模や集客などに応じ傾斜配分することも可能になり、より強いビッグクラブを生み出す土壌もできあがる。

 高額年俸で手が届かなかった世界レベルの名将や名選手を、再びJリーグに呼び込むことも可能になる。経営面の不安からサポーターの支持を得られないまま15年に導入された2ステージ制に、こだわる必要もなくなってくる。中継の制作費はJリーグが受け持ち権利も保有する。地方局などが、地上波中継するハードルも下がる。キックオフも原則クラブが設定できるようになるという。

 理解を得られないほどの高額で白紙撤回された、以前の新国立競技場の総工費は約2500億円だった。それに迫る大きな額を手にするJリーグは、日本のスポーツ界を変えるほどの成長を示すことができるのだろうか。村井チェアマンは「巨額の投資、実力以上の期待を頂いている。身の引き締まる思い」とした。【八反誠】