「心労による体調不良」で戦列を離れていた鹿島の石井正忠監督(49)が30日、復帰した。茨城・鹿嶋市内で行われた練習に普段通りのジャージー姿で現れ、詰めかけた報道陣と神妙な面持ちで握手。選手の動きも終始、険しい表情で見守った。この日朝の臨時役員会で続投が承認され、練習前のミーティングで選手に経緯を説明。「クラブのために自分は変わる。選手も一緒になって変わっていってほしい」と話した。

 石井監督は26日の練習前に突然、鈴木満常務取締役強化部長(59)に「監督、リーダーとして自信を失ってしまった。続けられない」と辞意を伝えた。27日のリーグ横浜戦を休養し、大岩剛コーチ(44)が監督を代行。この日は5日ぶりに練習場のピッチに立ち、理由を初めて説明した。今季は第1ステージでチームを優勝に導いたが、7~8月に公式戦4連敗を喫し「選手間で口論が多発し(今季前半のような)一体感がなくなっていた。私の指導力のなさ。責任を感じていました」と話した。

 20日の湘南戦では、交代させたFW金崎夢生(27)から握手を拒否され、口論に発展していた。休養に追い込まれる前、直近の“事件”だっただけに、ファンから心配の声が上がっていたが「ほとんど(原因では)ないです」と明言。この日、金崎は練習を休んだが、前日から続く風邪と高熱のためで、本人からは湘南戦の翌日に謝罪があった。「夢生とは話をしているし、クラブとしても整理できている」と強調した。

 第2ステージに入ってからの成績下降でチームが一体感を失ったと思い込み「クラブハウスに来ること自体、怖くなってしまった。(選手、コーチ時代を含め)鹿島24年で初めて」という。ただ、不在だった横浜戦で「選手が必死に頑張ってくれていた。許されるなら、また指揮を執りたい」と覚悟を決め、クラブに頭を下げた。練習場に「石井アントラーズ」の横断幕が掲げられていた中、9月3日の天皇杯2回戦(対富山)に向けて再出発した。