1万3782人の観客が詰めかけたヤマハスタジアムが、ため息に包まれた。ジュビロ磐田は川崎フロンターレと激しい攻防を続けたが、結果は今季3度目の完封負け。公式戦8戦ぶりの黒星を喫し、名波浩監督(44)は「我々の良さと意気込みが合致して、予想以上にできたと思う。だから悔しさも倍増」と無念さをにじませた。

 言葉通り、立ち上がりはジュビロ磐田の時間だった。前線からの積極的な守備で主導権を握った。前半4分、右サイドのスローインからFW川又堅碁(27)が、DFを背負いながら反転。左足で狙ったが、シュートはGKの正面を突いた。同6分には、DF桜内渚(27)がこぼれ球に合わせた左ボレーもクロスバーを直撃した。

 決定機を逃すと、後半6分に失点。ロスタイムにはMF長谷川竜也(23=静岡学園出)に2点目を決められ、力尽きた。それでもシュート数は相手の10本を上回る11本。名波監督は「失点後もシュートの意識が非常に高く同点、さらには逆転という流れができつつあった」と振り返った。

 20日の次節は、5連勝で2位浮上の柏とホームで対戦する。川又は「(今日の)前半の戦い方ができれば、どの相手でも戦える」。MF中村俊輔(38)も「前からアグレッシブに守備をすることでジュビロは少しずつ前に進んでいける。今日以上のものを出したい」と言った。敗れたものの、チームが進むべき方向を再確認できた90分だった。【前田和哉】