<J1:鹿島2-0新潟>◇第4節◇2日◇東北電ス

 鹿島のFW田代有三(25)が開幕4戦目で今季リーグ戦初ゴールを決めた。新潟戦の前半14分、DF内田の右クロスを頭でゴールに押し込んだ。プロ入り後、得点した公式戦22戦全勝という勝負運を持つ新エースの先制弾で、チームも開幕4連勝。昨季からの連勝をリーグ単独3位の「13」に伸ばして首位を守った。

 田代が長い眠りから目を覚ました。開始直後からDF内田からのクロスの気配を敏感に察知していた。そして前半14分、感覚通りに右クロスが上がると、ファーサイドでフリーで待ち構えた。後は独特の高い打点からヘッドを振り下ろすだけ。開幕4戦目にして初ゴールに「やっと入ったかという感じ。開幕から決められなかったけど、いいボールが来た」と胸をなで下ろした。

 ACLでは2戦3得点だったが「リーグの得点とは違う」とアジアの格下相手では欲望は満たされなかった。昨年から数えても7戦連続無得点中。相棒のFWマルキーニョスが好調なだけに少なからず焦りを感じていた。「この試合で決めないとマズイ」と前日には危機感を口にしていた。

 不調の原因は明白だった。古傷の左ヒザ痛がプレーに大きく影響していた。ジャンプの際の踏み切りを右足に変えるなど工夫したが、空中戦で微妙にタイミングがずれる場面が目立った。歩くだけでヒザがうずき、階段の上り下りにも痛みが走った。ヒザ周りの入念なストレッチで地道に回復を待った成果が表れた。

 代表のW杯予選での中東遠征から帰国後は時差ぼけに悩まされた。1日の平均睡眠時間は3、4時間。「羊が1匹…」と頭の中で歌っても効果はなかった。だが幸いなことにこの日はナイター戦。前夜は午前2時に眠り、朝食も取らずに同11時半まで爆睡した。昼食後も1時間半の昼寝を取り「心が安まった」とリフレッシュできた。

 プロ入り後、得点した試合は22戦全勝。最近になって代表でも同僚の横浜MF山瀬功が不敗記録(現在24試合)を持っていることを知った。「大事な試合で決めたい」。だからこそACLの大量得点の中のゴールではなく、リーグ戦での価値あるゴールにこだわった。「次もきっちり決めたい」。必勝神話も鹿島の連勝も伸ばすつもりだ。【広重竜太郎】