<J1:鹿島4-1東京V>◇第21節◇16日◇カシマ

 鹿島MF青木剛(25)が「日本代表」の肩書に恥じない働きを見せた。公式戦3戦未勝利で迎えた東京V戦で、ボランチで攻守に存在感を発揮。後半33分にはダメ押しとなる4点目のアシストを決めた。20日の親善試合ウルグアイ戦(札幌)で代表に初招集された男が、首位の座を守り抜く4-1の圧勝劇に貢献した。

 強い思いが、体を前へ突き動かした。後半33分。青木は中央のスペースに飛び出した。ドリブルからタイミングよく、右外にいたMF野沢の足元に柔らかなラストパスを送った。3-0で大勢は決していたが、攻めの姿勢を貫きアシスト。後半13分に相手を引っ張り受けた警告も「3点差あったが、この試合にかける思いが強かった。後悔してない」と言い切った。

 アテネ世代では主将も務めたが、五輪本番は落選。そこから再び「代表」に復帰するまで約4年半かかった。だが回り道をしたという思いはない。「当時は実力も結果も伴わず、考え方も真逆(マイナス思考)だった。落ちて当然。でも無駄な経験じゃない」。自己啓発の本を読むようになり、プラス思考に転じた。自然と結果も出るようになり、A代表から注目される存在となった。

 岡田監督からは献身的な守備姿勢と同時に「上背がある。セットプレーで使える」と評価された。183センチの長身は、180センチでバスケットボール選手だった父明彦さんと、164センチで国体にも出場したバレー選手の母俊江さんから受け継いだ。この日は前半14分に小笠原のFKに惜しいヘッド。「セットはまだまだ。満男さんに怒られた」と苦笑いした。

 18日から代表に乗り込む。「やるべきことをやる。派手なことはできない」。アテネ世代の代表ユニホームは自宅の押し入れにしまったままだ。「過去は振り返らない」。頼りなかった昔の自分とは決別した男が再び青いユニホームに袖を通す。【広重竜太郎】