<J1:浦和2-2京都>◇第26節◇1日◇駒場

 浦和が、右ひざ痛で温存していたDF闘莉王(27)を緊急起用しながら痛恨のドローを味わった。0-1と先制された前半40分、FWエジミウソンが同点ゴール。同42分にFW高原が勝ち越し点を挙げる理想の展開だったが、後半4分に追いつかれた。同33分には高原に代えて闘莉王を投入する強行策に出たが、引き分けて首位奪取に失敗した。

 緊急投入された手負いの闘莉王が必死の形相でゴールを狙った。後半33分に得点していた高原に代わって前線のピッチへ。右ひざは腫れたままだったが、気力を振り絞った。後半41分、振り向きざまのシュートは不運にもバーを直撃。同44分のシュートは無情にもゴール右隅に外れた。「1つ目は自分の形。2つ目は入った感覚だったけど…」。2度の決定機を逃した闘将は悔しそうに天を仰いだ。

 当初、闘莉王の出番は予定になかった。3日前の先月28日名古屋戦後、闘莉王の右ひざは2倍に腫れた。エンゲルス監督も「90分は無理。悪くなる確率が非常に高かったから」と先発を外す温存策に出た。前半は思い通りの展開だった。先制されたが、同終了間際にエジミウソン、高原が得点して逆転。本来の浦和ならば2点あればホームで勝てた。しかしでこぼこの悪ピッチに加え、闘将不在で敵の猛攻を耐え切れなかった。勝つには得点を奪うしかない。指揮官からの緊急指令に背番号4はピッチに立たざるを得なかった。

 闘莉王は「出ないことが一番、良かったんだけど」と言えば、得点した試合で途中交代となった高原も「確かに最後まで出たい気持ちもありますけど、監督が決めたことなので」と複雑な表情をみせた。強攻策が実らなかったエンゲルス監督は「闘莉王の2つのチャンスが入っていれば…。本当は最後に守り切る時に闘莉王を使いたかった」と吐露した。苦渋の起用でも勝ち点1しか奪えず、首位鹿島とは勝ち点2差の4位。闘莉王の負傷が悪化する可能性も残る。駒場での引き分けは、あまりにも痛すぎた。【藤中栄二】