舞台は整った。J2で2位を快走する山形が、23日のホーム熊本戦(NDスタ)で悲願のJ1昇格をつかみ取る。勝ち点5差の3位仙台が、22日の横浜FC戦に2-2で引き分け、その差は4。山形が勝てば7差となり、2試合を残して2位が確定する。小林伸二監督(48)は地元サポーターのために「リスクを負ってでも勝ちに行く」と約束した。

 転がり込んだ昇格チャンスを、安易には喜ばなかった。仙台戦を山形・天童市内のクラブハウスでテレビ観戦した小林監督は、勝負の厳しさを再確認した。

 小林監督

 仙台には、見えない重圧があったんだろうね。(5位)鳥栖も(最下位)徳島に負けた。昇格に絡んでいるチームが、ここに来てギクシャクしてきた。自分たちにも同じことが起こり得る。明日は気を引き締めて頑張るだけ。

 一方で仙台戦開始前の会見では、強い決意をにじませていた。「(仙台が)引き分け以下に終われば、熊本戦はリスクを負ってでも勝ちに行く」と断言。実際に仙台が引き分けたことで残り3試合で1勝すれば2位が確定する。前日までの「2勝」から、さらに状況は有利になったが、地元サポーターの前で一発で決めるつもりだ。「(ホーム達成の)勢いがある。チャンスが来たからには決める」とまで宣言した。

 唯一の不安材料はクラブを取り巻く環境の変化だ。監督は前日練習を終えた選手の心を「今日は動きが硬かったかな。気持ちが高ぶってる。見られることに慣れてないから」と察した。その一因は報道陣の多さ。この1週間、多い時で約30人の取材者が殺到し、ピッチ周辺は昇格ムード一色。そこで、普段はクラブハウスで行う会見を、この日は別会場に移すなど選手を刺激しないよう配慮した。

 その上で、02年に大分をJ1に導いた経験をイレブンに伝えた。ミーティングで「今まで培ってきたことを、どれだけ出せるか。欲張らず簡単な動きの繰り返しでリズムをつくってゲームに入ることが鉄則」と平常心を保つコツを教えた。

 Jリーグ加盟から10年。同じ轍(てつ)は3度も踏まない。01年、04年に最終節で逃した昇格。今年はそこまで待つ気はない。【木下淳】