ストライカーが、異例の「ノーゴール宣言」だ。30日の鳥栖戦で、勝てば入れ替え戦出場の3位以内が確定するJ2仙台FW平瀬智行(31)が29日、つぶれ役に徹して仲間のゴールを誘発する考えを示した。あと1ゴールで、00年J1鹿島時代に記録した、リーグ戦でのシーズン自己最多11得点を更新するが「バチが当たる。狙わない」とキッパリ。重圧とは無縁のベテランが、大一番での勝利を演出する。

 J1昇格を左右する大一番に向かうとは思えないほど、経験豊富なベテランはリラックスしていた。

 平瀬

 緊張感のある舞台に立てることに感謝。ゴールは狙わない。無欲に行く。ボクが開けたスペースに2列目、3列目から飛び出して点を取ってもらう。

 報道陣が拍子抜けするほど気負いのない平瀬。サッカーができること、それも昇格の可能性がある舞台でプレーできる喜びを心底、感じている。股(こ)関節に痛みが出るグロインペイン症候群に苦しみ、昨季J1神戸ではリーグ戦3試合の出場にとどまった。

 平瀬

 去年やれなくて、外から見てて(ほかの選手が)うらやましかった。復活というか、サッカーをできることがうれしい。

 自身のシーズン最多得点の更新を狙っていると思いきや「意識しない。これ以上望んだらバチが当たる」と平瀬。だが本心は違う。22日の横浜FC戦後に「今季あと1点、絶対取る」と口にしていた。

 06年、神戸でJ1昇格を果たした平瀬だが、同時にほろ苦さも味わった。「最終戦(対仙台)で負けて、入れ替え戦に行った。メンタルがきつかった。今節3位以内を決めて、チームがリラックスする状況をつくる」。二度と同じ思いはしたくない-。そう胸に刻むベテランは黒子に徹しながら、まずは入れ替え戦切符獲得を演出する。【山崎安昭】