<J1:鹿島2-1清水>◇第11節◇10日◇カシマ

 鹿島が「魔の23日間」を不敗で乗り切り、首位に浮上した。FWマルキーニョス(33)の1得点1アシストの活躍などで、清水を2-1で下し、1試合多く消化している浦和を得失点差で上回った。過密日程となる黄金週間を含む23日間7試合を、昨季は1勝3分け3敗と大苦戦したが、今季オリベイラ監督(58)の柔軟采配で5勝2分けで乗り切った。

 気温27・1度の夏日、強烈な日差しが照りつける中でも、鹿島は止まらなかった。粘り強く勝ちきって首位奪回。DF内田は「勝って当然と思われてるし、おれらもそう思っている。勝ち続けるのが鹿島だから」と王者のプライドを言葉にした。

 役者が躍動した。前半4分、内田の右からのクロスをFW興梠が頭で折り返すと、中央で待ち構えたマルキーニョスが冷静に先制点をゲット。後半5分にはMF野沢のクロスをマルキーニョスが頭で落とし、MF本山が「GKが倒れたのが見えた」と言う鮮やかなループ弾で勝負を決めた。

 オリベイラ監督の柔軟采配で、7試合を消化する「魔の23日間」を好成績で乗り切った。同時期に1勝3分け3敗と苦戦した昨季は、固定したメンバーで戦い抜いた。試合後48時間は休養に充て、中2日の試合ではセットプレーの確認もせず軽い調整で挑むことが多かった。

 だが今季はチーム状態に合わせて練習量を増減した。本山が足の張りを訴えると全体の疲労を考慮して主力組を練習から上がらせた。選手交代も柔軟だった。2日の千葉戦で内田をベンチ外にして休養を与え、この日も「選手の回復、大事を取ることを考えざるを得ない」(同監督)と、右足内転筋に違和感があったDF伊野波を途中交代させた。GK曽ケ端は「昨季を経験して今季は調整法が変わった。回復の仕方とかを(監督が)考えてくれる」と振り返った。

 指揮官がイレブンを奮い立たせた言葉がある。「(24日の)G大阪戦まで連勝でいこう」。残り3試合。内田は「ぼくたちも、そう思っている」と言い切った。柔軟采配とそれに応える選手たち。暑さも疲労も乗り越えて鹿島の快進撃は続いていく。【菅家大輔】