流通経大GK林彰洋(4年)が、ルーマニア1部リーグに今季から昇格する、FCアストラに電撃入団したことが28日、分かった。林は、全日本大学選抜として出場したユニバーシアード・ベオグラード大会後、ドイツなど欧州各国を武者修行で巡り、同クラブの練習にも参加。実力を認められ、27日に契約を結んだ。オシム前監督時代の07年に日本代表候補にも招集された、未来の日本の守護神候補が新たな1歩を踏み出した。

 林が大学入学時から温めてきた、海外挑戦のチャンスを手にした。10日のユニバーシアード3位決定戦・英国戦に出場して1-0の完封勝ちにチームを導いた後、林は大学選抜を離れ、国際サッカー連盟(FIFA)公認のラーマン代理人と共に欧州武者修行の旅に出た。ドイツ、スロバキアのチームの練習に参加後、ルーマニアに移動し、FCアストラの練習に参加。そこでモルドバン監督らスタッフから高評価を受け、27日に契約した。

 アストラでは、8月2日のパンドゥリとの開幕戦(ホーム)を前に、3人のGKのうち2人が移籍し、即戦力のGKを探していたことも、林にとっては幸運だった。また同クラブには、高卒後に海外に挑戦し、昨年の2部ベストイレブンのMF瀬戸貴幸(23)も所属する。同代理人によって、ビザなどの手続きも円滑に進んでおり、アストラ側は「現状でも第2GKは間違いなし。クロスボールに積極的に飛び込むようになれば、定位置も近い」と期待しているという。

 190センチを超える長身GKの林は、10代から注目を集める存在だった。大学生ながら日本代表のオシム前監督の目にとまり、代表合宿に2度呼ばれた。来季の新戦力として、鹿島、横浜、大宮から正式オファーが届き、名古屋と京都からも強い関心を寄せられた。

 それでも林は欧州を選んだ。昨年3月にフランス1部メス(現2部)の入団テストを受けたが失敗。同9月に広島の練習に参加中、左手小指を骨折し大学で定位置を失うと、ユニバーシアードでも控えに回り、一時の輝きを失っていた。ルーマニアリーグは欧州でもマイナーだが、欧州で自らを磨き直そうという思いで移籍を決意したもよう。リーグ戦が中断するクリスマス休暇まで帰国しない見込みだ。