王座奪回を目指す浦和が、フォルカー・フィンケ監督(61)の来季続投を内定したことが9日、分かった。現在公式戦4連敗中で今季リーグ優勝へ苦境に立つが、クラブ首脳陣は、就任1年目ながらパスサッカーを軸とする新たなスタイルを構築したフィンケ監督の指導力を評価。来季を視野に入れたチームづくりを促進するため、来年1月末までの1年契約を、さらに1年間延長する方針を固めた。10日、さいたま市内でのクラブイベントで、橋本光夫社長(60)がサポーターに指針を示す見込み。

 シーズン折り返し地点で異例の「スピード続投内定」となった。浦和フロント側は今年4月に藤口光紀前社長から橋本体制に移行して以来、フィンケ監督や信藤チームダイレクターら現場サイドと定期的に強化策を協議。欧州の連動サッカーを浸透させ、山田直や原口ら若手の積極起用で世代交代を進めるなど、同監督の長期的な視点での改革を理解し、リーグ中断期間前の7月下旬までに、来季続投の方針を固めた。

 浦和は既にナビスコ杯は敗退し、リーグ戦も残り14試合で首位鹿島と勝ち点10差の4位と、2季連続の無冠に終わる可能性がある。数字上は、来季J2降格圏に足を踏み入れる危険もある中での早期続投内定は、クラブにとって高いリスクを伴う。それでも、橋本社長は「(来季も含めて)新しいレッズのスタイルを確立する時期。どんな状況でもクラブの方針がブレないことが大事で、それは開幕当初から変わらない」という考え。昨季は開幕直後にオジェック監督を解任し、引き継いだエンゲルス監督も契約期間を残しながら退団。旧フロント陣が招いた混乱を教訓にする。

 クラブ側は今後、フィンケ監督との今季1年契約時に設けていた契約延長のオプションを行使し、10~11月ごろに正式に続投を要請。条件面など本人との交渉で合意し次第、更新手続きに入る。フィンケ監督も現段階で「このクラブでの仕事にやりがいを感じている」と話している。

 浦和は今季、従来のような他クラブからの大型補強を控え、相馬(マリティモ)や永井(清水)三都主(名古屋)が移籍。戦力ダウンが懸念される中で公式戦4連敗が重なり、監督と主力DF闘莉王が強化策について意見を主張し合うなど、クラブの方向性が問われていた。橋本社長は10日、クラブ主催のトークイベントで、サポーターに今後の方針を説明する見込み。来季を含めた現場の体制を早々に固め、リーグ再開初戦の15日G大阪戦(万博)から巻き返しを図る。