J1清水が、鹿児島キャンプ3日目の10日、J2熊本と練習試合(45分×4)を行い、6-0で大勝した。主力組が出場した2本目まではセットプレーの得点のみに終わったが、前戦(6日)のJ2栃木戦から、試合内容は格段に向上した。攻撃的MFで先発したMF小野伸二(30)も72分間プレーし、随所に“らしさ”を発揮。長谷川健太監督(44)は「今までのエスパルスにはなかったプレーが生まれた」と絶賛した。

 「新生エスパルス」の形が見えてきた。2本目の開始6分、MF小野から相手DFライン後方へ飛び出したDF児玉に絶妙なスルーパスが通った。シュートこそ相手GKの好セーブに阻まれたが、観衆を沸かせる決定機だった。長谷川監督は「もっと(連係)合ってくればおもしろい」と新司令塔のパスを絶賛した。

 小野だけではない。チーム全体も指揮官が「なんとなくイメージができてきた」と話すように、新システム(4-3-3)が浸透してきた。前回のJ2栃木戦でのロングボールを多用の反省から、最終ラインから中盤を経由し、攻撃につなげる戦術練習を徹底した。MF本田は「DFラインと近づきすぎないで距離を保つことを意識した。今日はサイドもうまく使えた」。MF小野も「前回より質は高かった。すごく良かったと思いますよ」と話した。

 1、2点目は流れの中ではなく、セットプレーからの得点だったが、伸び盛りの長沢、原の両FWが結果を出したことも好材料。長谷川監督は「最後(ゴールを)決められるかというとこに移行していく」と今後はゴール前での精度アップに着手することを明言。鹿児島で清水は、着実に進化している。【為田聡史】