浦和の元日本代表FW高原直泰(31)が、韓国Kリーグ1部のFCソウルへ移籍濃厚であることが9日、分かった。7月上旬までに正式オファーを受け、クラブ間交渉に発展。浦和との契約期間が残る今季終了までの期限付き移籍で大筋合意しており、条件面などの詳細を煮詰めている。移籍金は推定6億5000万ウォン(約5000万円)。本人が同意すれば、来週中にも正式決定する見込み。高原はフィンケ監督の戦力構想から外れ、浦和側も今夏での移籍先を探していた。

 出場機会に恵まれない高原が、新天地で再起を図る。7月上旬までにソウルから獲得の打診を受けた浦和は、柱谷GMを窓口にクラブ間での交渉を開始。半年間のレンタル移籍でまとまり、移籍金など条件面の交渉が大詰めを迎えている。同GMは具体的なクラブ名を控えつつ「今のままでは試合に出られない。本人のためにもなるべく早く決めたい」と来週中までの期間での決着を想定している。

 高原は08年にブンデス1部フランクフルトから浦和に完全移籍したが、世代交代を進めるフィンケ監督が就任した昨季以降は控えに回り、今季も出場したリーグ戦全4試合で途中出場だった。同監督は6月19日~7月1日までのオーストリア合宿に高原を帯同させず、帰国後に本人との直接会談で戦力構想外であることを通達していた。

 高原は年俸1億6000万円と高額で、満額の条件ならば半年間のレンタルでも同額かかるが、監督の意向を踏まえたクラブ側は条件面を大幅見直し。Jリーグの移籍市場が開く7月16日~8月13日での成立を目指して、売り込みをかけた。ただ、獲得を想定して調査に乗り出していた複数のJクラブと具体的な交渉に発展しなかった。

 そこで移籍先として名乗りを上げたのが、現在Kリーグ4位のソウル。来季のアジア・チャンピオンズリーグ出場権と前身の安養時代以来、10年ぶりの王座奪回へ向けて選手補強を画策し、欧州や日本代表でも実績があり、韓国国内でも知名度抜群の高原を最有力候補に挙げた。浦和とは友好関係にあり、2月の来日時に練習試合を行い、チーム首脳陣は直接、高原のプレーを確認している。レンタル期間終了後も戦力として確保する考えで、高原と浦和の契約が切れる来季、完全移籍での獲得を視野に交渉を進めている。

 浦和はFCソウルとの交渉終了後、高原に条件面の詳細を提示する予定。両クラブと本人の3者が最終合意に達すれば成立する。既にチーム練習に合流し、移籍に備えて調整している高原は「クラブから具体的なことは知らされていない」としたうえで、Kリーグなどアジア圏への移籍については「必要としてくれるところであれば問題ない」と話している。