<天皇杯:清水3-0G大阪>◇準決勝◇29日◇エコパ

 史上初の天皇杯3連覇を狙ったG大阪が、準決勝で清水に0-3と完敗した。日本代表MF遠藤保仁(30)を累積警告による出場停止で欠き、06年以来4年ぶりの無冠に終わった。

 スコア以上の完敗だった。立ちつくすイレブンから、王者の面影は消えていた。天皇杯史上初となる3連覇まで、あと2勝…。4日のリーグ最終戦で完勝(3-0)した清水に惨敗し、歴史的偉業に手が届かなかった。終戦を迎えた指揮官は、責任を背負い込んだ。

 西野監督

 3連覇に対してここまでもって来られて、決して恥ずかしいポジション(ベスト4)じゃない。僕自身の責任であり、選手はいいチャレンジをしてきた。ただ、ガンバのスタイルを出し切れなかったことが悔しい。

 穴は大きかった。MF遠藤が累積警告で出場停止。大黒柱の不在で中盤にタメができず、MF橋本は「攻めがつながらず焦りを感じた。ヤット(遠藤)がいると、重圧を受けても落ち着いてプレーできるので」と唇をかんだ。FW宇佐美も「今日に限ればヤットさんがいない影響はあった」。左足首捻挫のDF加地、下腹部負傷のDF中沢も欠場。25日の準々決勝後に発熱したDF下平は精彩を欠き、前半37分で退いた。

 指揮官が「すべてのタイトルを狙う」と宣言した10年シーズン。リーグ戦2位、ナビスコ杯8強、ACLは16強止まりで天皇杯は4強に終わった。宇佐美やFW平井、MF武井の若い力が台頭してリーグ首位の得点を残したが、結果的には4季ぶりの無冠。原因を聞かれた西野監督は「酷な質問ですね」と、こぼした。

 西野監督

 すべてのタイトルに強いアプローチをしてきた。すべて可能性がなかったとは思いません。ガンバが常勝を求められるチームなのは間違いない。今年のチームではいけないのかな、と思います。

 来季は西野体制10年目。成熟期を迎えるチームは、一方で主力の高齢化が懸念される。FWルーカスは退団、23歳のDF安田理には欧州移籍の可能性があり、金森社長は「来季の課題がはっきりしたね。DFのあたり」と話した。長年レギュラーを張る31歳の橋本は「以前みたいな攻撃の厚さがなくなってきている」と危機感を抱く。

 築いてきた「常勝軍団」のフレーズは、どうなるのか。タイトル奪取へ、勝負の11年が始まる。【近間康隆】