一般社団法人日本プロサッカー選手会(JPFA)が、労働組合化することが8日、分かった。先月末に、臨時総会を開き、今までの任意団体から労働組合に変更することで方向性を固めた。さらに協議を続けており、今日9日にも正式表明し、労働組合日本プロサッカー選手会の名称を加える。代表選手の勝利給アップを含む全選手の待遇向上を目指しており、今後は正式団体として日本協会と協議していく。JPFAの労組化に対し、日本協会、Jリーグ、J各クラブは3団体が結束し、選手ステータス協議会を発足させた。

 勝利給アップを巡るJPFAと日本協会の攻防が、本格化した。JPFAに所属するCSKAモスクワMF本田圭佑ら海外組から委任状を託された上、Jリーグ全38クラブの68人で構成されるJPFAの幹部会を中心とした臨時総会が先月末都内で開かれ、労働組合に変更することで、意見が固まった。9日にも全会員962人に通達し、選手組合発足を表明する。

 JPFAの清岡哲朗執行役員は「まだ言える段階ではない」と話したが、昨年末から「来年(11年)の早い時期には労働組合に変更したい」と明言しており、ようやく実現することになった。今年初めには、相談した国際プロサッカー選手会(FIFPro)からも「いち早く組合として活動した方がいい」とアドバイスを受けている。

 現在、JPFAは日本協会と、代表選手の勝利給アップなど、待遇改善を巡って対立している。25日のモンテネグロ戦と29日のニュージーランド戦のボイコットなども考えられていた。しかし任意団体ではストライキの権利はないため、日本協会との話し合いは、主導権を握られたままの交渉が続いていた。

 今後、労働局に認可申請すれば、労働組合として活動でき、スト権も獲得できる。今月中には事務的な手続きも終了するとみられる。JPFAの藤田俊哉会長は「ストライキありきで日本協会と交渉を続けるつもりはない。日本サッカーの将来のためにベストな道を進められるように努めたい」と話した。

 労働組合を結成するJPFAに対し、日本協会はJリーグ、J各クラブと結束し、選手ステータス協議会(議長はJリーグ佐々木一樹常務理事)を発足した。Jの中西大介事務局長は「3つの団体が意見統一し、この中で対応方針を固めていく」と説明した。

 選手会側は労働組合としての発足が目前に迫り、日本協会などもこれに対応する窓口を即座に設置した。交渉の環境は整いつつある。日本サッカーの発展という共通目標を持ちながら、選手の待遇改善を巡り、ルールにのっとった極めて厳しい交渉が予想される。