水戸と熊本がタッグを組み、茨城県内の東日本大震災被災者などを試合に招待するプランが進行中だ。16日、水戸の沼田邦郎社長(46)が明かした。水戸と熊本は5月14日に水戸のホームKsスタで対戦する。熊本が募金活動で集めた資金で、バックスタンドのチケット950枚を購入し、水戸にプレゼント。水戸側は児童養護施設、避難所生活を送る子どもたち950人を招待する予定だ。

 被災クラブ水戸は現在、鹿島、茨城県サッカー協会と「茨城県復興」をテーマとした「WITH

 HOPEプロジェクト」を立ち上げ、被災者への支援活動を展開している。そこに、南国熊本からも愛の手が差し伸べられた。沼田社長は「熊本さんとも連携を取って、実現させたい」と意欲を見せた。

 熊本は親会社がなく、地元複数企業をスポンサーとするクラブ。「県民1人1人の絆によって存在する」という姿勢のもと、04年の設立当初から「絆」をスローガンに掲げている。運営するアスリートクラブ熊本の蔵原信博専務は「被災地は遠方にあるので、直接行って何かするということはできない。絆とサッカーをキーワードに、被災地のために何かできないかと考えていた。選手たちの思いもあるので」と明かした。クラブ、熊本の選手会、サポーター、県民推進運動本部の共同企画として計画中だ。

 熊本側は5月に開催するホームゲーム、4日の北九州戦、8日の札幌戦で募金活動を行い、チケット購入代とする予定。現在、関係セクション、サポーターとも調整中で、28日のサポーターミーティングで内容を詰める。

 資金難に加え、震災によるスタジアム、グラウンドの損壊など、苦境が続く水戸の沼田社長は「震災で、仲間の大切さを知った。本当にありがたいこと」と感謝。水戸側はバックスタンドの500円のチケットを250円で提供し、震災で避難所生活を送る子どもたちと、養護施設の児童950人分を準備している。また、5月14日に観戦できない子どもたちのために、その日以外のホームゲームでも観戦可能とする方針だ。

 震災によるサッカー界の支援の輪は、J2にも広まっている。