<J1:横浜3-2福岡>◇第10節◇7日◇日産ス

 横浜が「新世代の10番」FW小野裕二(18)の2得点で福岡に逆転勝ちした。1-2の後半11分に途中出場。同32分に右足で今季初、プロ契約後の初ゴール(昨年の3得点時はいずれも2種登録)となる同点弾、同36分に左足で逆転弾を決めた。新人での背番号「10」はクラブでは初、またJリーグでも最年少。横浜では司令塔タイプが多かったが、得点が取れる「新しい10番像」を目指し、第1歩を刻んだ。

 ボールの行方を見ることなく、シュートの勢いのあまりに、豪快にすっころんで1回転した。後半36分、ゴール左で、ボールが小野の目の前に転がった。角度はない。だが、迷うことなく左足を振り抜いた。「バランス崩れてたけど、思い切り蹴った」。

 ゴールの瞬間、右サイドネットから雨の滴がきれいに飛び散る。1回転したあと、先輩たちの歓喜の輪に勢い良く突っ込む。小野の動きすべてに迫力があった。すぐにもみくちゃにされた。新たな10番の逆転弾。祝うように多くの手がその背中の10番をたたいた。

 「勢い」。それを生む気の強さこそ、持ち味だ。ドリブルが注目されるが、それを支えるのは、誰にも向かっていく気持ち。途中出場した開幕の名古屋戦では、こわもてのDF闘莉王と口論になった。「がみがみうるさかったんで、言い返しました」。激しく感情を前面に出す。猪突(ちょとつ)猛進で、積極的に仕掛ける。その気持ちが勢いとなり、ゴールを生む。

 「俺はストリートサッカーで育ったんです」。小1でサッカーを始めた横須賀育ちの小野少年。学校が終わり向かうのは、学校の校庭ではなく近所の公園だった。手にはボールが1つ。そして目の前にはたむろする中学生たち。「サッカーやろうよ」。年上に向かって挑戦状をたたきつける。そしてドリブルで年上を出し抜く。そんな毎日。その中で自然と気の強さは養われた。

 「俺は自分だけの10番像を作りたいんです」。だから新人として“クラブ初”にも気持ちは揺るがない。この日のゴールを祝福したMF中村、そして木村監督…。横浜伝統の司令塔タイプの10番は目指さない。武器は気の強さ、向かっていく姿勢。そして得点。後半32分に右足で決めたプロ初ゴールの同点弾も、自分から積極的に仕掛けた。

 ホーム初勝利で開幕から5戦無敗。13戦無敗だった02年以来9年ぶりのスタートダッシュ。「まだ2点。今日だけに限らずコンスタントに決めていきたい」。18歳が突き進む、04年以来の優勝へ向けて。【阿部健吾】