横浜FCのFWカズ(44=三浦知良)が今冬のFリーグ(日本フットサルリーグ)参戦に向け、「やるなら勝利に貢献したい」と真剣勝負を掲げた。10日、横浜市内の練習場で取材に対応。Jリーグのオフ期間限定の挑戦となるが、「顔見せ」ではなく、受け入れ先となるエスポラーダ北海道(札幌市)の勝利のため、全力を尽くす意欲を見せた。そんなカズを後押しするため、Fリーグも負傷時の保険(傷害保険)に加入する。他のJリーガーの参戦にも適用される「カズ保険」。キングが日本サッカー界に新たな道筋を作っていく。

 カズの表情に挑戦への気概が満ちた。フットサルという新たなフィールド。志向するのは、サッカーと変わらない「真剣勝負」だった。

 カズ

 話題作りだけでいくのは失礼。やるなら練習参加もして、顔見せじゃなく、お客さんを集めるためだけでなく、エスポラーダの勝利に貢献しなければいけない。やる気はすごくあります。

 実は09年オフにも参戦する計画があったという。最終的にはコンディション、練習参加の日程、クラブと監督の意向などを考慮し、断念した。ただし、この時はオフ期間を通じたものではなく、「年末に1試合」の要請。今回は「片手間になってはいけない」と“本気”の参戦を視野に入れる。

 カズとフットサルの出会いは、約30年前にさかのぼる。高1で高校を中退して、プロになるために向かったブラジル。最初に所属したのがサンパウロ市のフットサルチームだった。サッカーのクラブに入団する手続きがうまくいかなかったカズに当時の監督が声をかけたという。「あのときといまではルールが違うんだね」と話すが、だからこそフットサルへの愛情は深い。

 横浜市内で練習を終えたこの日も、「今後の日本サッカー界の発展にとっては重要だよね」とその利点を訴えた。1対1の技術、ボールタッチ…。「ブラジル代表の11人はフットサルの技術でつながっているからね。Fリーグの盛り上げはしていかないとね」と力説した。

 真剣勝負にかけるカズのため、Fリーグも動いた。負傷時の保険(傷害保険)に加入するため、Jリーグ関連の保険会社と現在打ち合わせを重ねており、早ければ今月中にも詳細が決まる。リーグが、選手個人のために保険に加入するのは、極めて異例のことだ。

 「カズ保険」は、カズだけでなく、シーズンオフにFリーグに挑戦する他のJリーガーにも適用される。ケガの心配なくプレーできる環境が整えば、毎年12月から翌年2月までは、J→Fの新図式が出来上がる。「Jリーグの人気選手がオフにしっかりとできるようになればいいね」と話すカズの願いにかなった制度と言える。

 「チーム、自分のコンディション、Fリーグの考え…。すべてがクリアされれば」。そう話すキングの視線は、フットサルの世界をとらえていた。【阿部健吾】