<J1:鳥栖2-2清水>◇第22節◇30日◇ベアスタ

 清水は鳥栖と引き分け、連敗を2で止めた。相次ぐ主力の離脱に、大榎克己監督(49)は3バックの新システムを採用。後半11分に先制点を許した後も、若手投入の大胆な采配を見せ一時はFWノバコビッチ(35)、FW大前元紀(24)のゴールで勝ち越しに成功した。終了間際のロスタイム、痛恨の同点弾を許し3戦ぶりの勝利こそ逃したが、アウェーで最低限の勝ち点1をつかんだ。

 連敗阻止へ-。清水の大榎監督が大胆な采配を振った。この日、DFイ・キジェ(23)の出場停止に加えて、MF河井陽介(25)とMF杉山浩太(29)が負傷欠場。主力3人を欠く苦しい状況の中、前日29日に1度だけ試した3-5-2の新システムで勝ち点3を奪いにいった。

 試合前、指揮官は「チーム事情と、後ろに高さを出したかった」と同システムを採用した理由の一部分を説明。DFラインにはDF平岡康裕(28)ヤコビッチ(29)リーグ初先発の三浦弦太(29)と180センチ超える3人を並べ、鳥栖の攻撃の起点、FW豊田陽平(29)に対応。前半32分には豊田に入ったクロスを三浦がはじき返すなど、相手エースを完全に封じた。

 同36分には左サイドの崩しから、最後は右サイドのDF吉田豊(24)が、右足でゴールを脅かした。安定した守備から、アウェーで貴重な勝ち点獲得に向け、期待は高まっていった。

 後半11分にミスから先制点を許した後も、指揮官は大胆だった。同25分にユース所属のMF水谷拓磨(18)をJデビューさせると、同32分にはMF金子翔太(19)をリーグ戦に初起用、若手を次々に投入した。すると、同36分にFWノバコビッチが同点弾。同43分には、左サイドを突破した金子の折り返しに、FW大前が公式戦4戦連続ゴールとなる勝ち越し点をたたき込んだ。

 勝利を手中に収めたかに見えたが、後半ロスタイムにまさかの失点。つかみかけていた3戦ぶりの勝利は目前で消えた。それでも、厳しい台所事情を抱えながらもつかんだこの勝ち点1を、次節の首位浦和戦(9月13日、エコパ)につなげていく。【前田和哉】