G大阪MF遠藤保仁(28)の「コロコロPK」がサッカーの母国イングランドに驚きを与えた。18日のトヨタ

 クラブW杯準決勝マンチェスターU戦の後半40分に決めたPKを、同国の実況が「こんなの見たことない」と驚嘆の声を挙げていた。マンU戦から一夜明けた19日、遠藤は横浜市内のプールで軽めの調整を行った。21日の3位決定戦パチューカ戦でも世界に高い技術をアピールする。

 日本が誇るPK職人の妙技は、目の肥えた本場のメディアにもサプライズだった。世界の200カ国以上で中継された18日のマンU戦。遠藤がPKを決めた瞬間、イングランドのテレビ実況が「あんな緩いPKをプロの試合では見たことがない!」と驚きの声を上げていた。GKファンデルサールが伸ばした右手から逃げていくように球筋にカーブをかけ、ゴール左隅ぎりぎりに流し込んだ1発だ。

 厳密に言えば、遠藤が得意とする「コロコロPK」よりも少しスピードを上げた「中速PK」だった。遠藤も試合直後に「(相手GKが)でかくて反応も速いから、いつもより少し速いボールを蹴った」と認めている。ただ、欧州でも「ズドン」と蹴り込むPKが主流なだけに、英国人には異色のキックに映った。遠藤は世界に向けて、得意技を十分アピールできたことになる。

 遠藤のPKだけではない。G大阪が攻撃スタイルを貫いて奪った3得点は、イングランドの記者にも予想外だった。マンチェスター・イブニングニュースのワトソン記者は「日本のサッカーを世界にアピールできたのではないか。マンUから3点取れるチームはそうない」。デイリーテレグラフのウィンター記者も「初めの1時間は寝そうになったが、G大阪が素晴らしい逆襲を見せた」と最後まであきらめない姿勢をたたえた。

 この日、遠藤はほかの主力とともにプールで疲労回復のメニューをこなした。21日には3位決定戦のパチューカ戦がある。「3位に入るという明確な目標がある。(マンU戦の)3点に満足せず勝ちたい」。今度は北中米カリブ王者と渡り合い、勝利で大会を締めくくる。【北村泰彦】