<高校総体:陸上競技>◇3日◇岩手県北上市

 男子400メートル決勝は、山木伝説(かける=山形・九里学園1年)が47秒79で準優勝に輝き、その名の通りに“伝説”を記した。準決勝は、1年生の記録を20年ぶりに更新する47秒31でトップ通過。2レース連続の自己記録更新はならなかったが、名前ともども、全国に存在感を示した。

 山木が大会前の全国ランク42位から一気に高校トップ・アスリートの仲間入りをした。決勝は序盤に乗り切れず、最終コーナーから猛追。1年生チャンプ誕生の夢は逃したが、「ラスト100メートルは自分の持ち味が出せました。前に1人いたのは悔しかったけれど、自信になりました」とさわやかに振り返った。

 父紀彦さん(39)は米沢中央時代に400メートル障害でインターハイに出場。その父に「世の中の人に語り継がれるように」と「伝説」と命名された。“かける”の読み方の理由は聞いたことがないというが、息子に託したアスリートの夢は察して余りある。山木は「プレッシャーになりますが、今は誇りが持てます」と気に入っている。

 米沢四中から本格的に陸上を始め、当初は100メートルだったが、県大会にすら進めなかった。だが、2年から400メートルに転向して急成長した。昨夏は、今回と同じ北上陸上競技場で開催の東北中学大会で優勝。その勢いで全国も制した。高校記録保持者の金丸もなし得なかった高校1年の歴代1位記録。金丸は高校2年からインターハイを連覇した。「狙ってみたい」。同級生女子から「デンセツくん」と呼ばれる山木が、伝説を作り続ける。【佐々木雄高】