国際バスケットボール連盟(FIBA)から無期限の資格停止処分を受けた日本協会の改革を主導するタスクフォースは14日、日本協会の実務責任者として、初代の事務総長にJリーグの大河正明常務理事(56)を推薦すると発表した。来月の理事会、評議員会を経て正式に決定する。会長にはタスクフォースの川淵三郎チェアマン(78)を推薦する。サッカー出身の2人が「Jリーグ流改革」で、混迷のバスケット界を立て直す。

 日本バスケットボール協会事務総長への推薦が決まったJリーグの大河常務理事は、日本サッカー協会で会見に応じた。中学、高校はバスケ部。京都・洛星中時代は全国大会で4強に入るなど、競技への愛着は深い。「自分もバスケットに育ててもらったから」と大役に意欲を示した。

 先月30日、タスクフォースの川淵チェアマンから「ガバナンス(統治)と経営面のアドバイスをしてほしい。何とか助けてほしい」と事務総長就任を要請された。「川淵さんが1人で重い責務を背負っている」と誰にも相談せずに決断。先週末にはスイスのFIBA本部に赴き、バウマン事務総長との対面も済ませた。

 大河常務理事は10年に三菱東京UFJ銀行からJリーグ入り。財政健全化を求めるクラブライセンス制度の導入に尽力した。その手腕は新リーグでも期待される。トップリーグNBLのつくば、和歌山は今季途中に運営会社が破綻した。クラブ経営の透明化は健全なリーグ運営の基本。Jリーグ同様のライセンス制度に着手する見込みだ。

 元銀行員として地方協会の財務の改善にも取り組む予定。地方協会は多数が任意団体。タスクフォースの調査では、川淵チェアマンが「びっくり仰天」と驚くほど、財務状況が不透明な団体が多数ある。サッカー同様に、地方協会の法人化も勧めていく。

 FIBAは日本協会の非常事態を乗り切るため、1年間は会長を含めた理事は6人の少数精鋭でガバナンスを強化する方針を示す。残りの理事はバスケット界にかかわっていない、しがらみのない人間で、国際派、女性などが候補になる。日本協会の会長就任が確定している川淵チェアマンは各競技団体の縦割り組織を批判してきた。常々、「横ぐしを差したい」と競技団体の枠を超えた連携に意欲を示す。「Jリーグ流改革」はその第1歩になる。【田口潤】

 ◆日本協会の資格停止 FIBAはトップリーグが日本協会公認のNBLとプロのTKbjリーグに分かれていることを問題視した。08年には強化の観点から「1国1リーグが望ましい」と指摘。FIBAが設けた昨年10月の期限に一元化できず、同11月に無期限の国際試合停止処分を受けた。FIBAは日本協会のガバナンス欠如、脆弱(ぜいじゃく)な強化体制も問題視。1月発足のタスクフォースはリオ五輪予選前の5月下旬の解決を目指している。