卓球の世界選手権(中国・蘇州)女子シングルスで、日本選手史上最年少8強を果たした伊藤美誠(14=スターツ)が4日、関西空港に帰国した。この日、国際卓球連盟(ITTF)から発表された5月の世界ランキングは、前月の15位から11位となり、日本勢3番手に浮上。16年リオデジャネイロ五輪の代表3人枠をつかみ取る可能性も高まってきた。

 伊藤が笑顔で「いつも通りできて、自分の卓球が世界でも通じると感じた」と言い切った。3月のワールドツアー・ドイツオープン女子シングルスで史上最年少優勝。今大会でも、準々決勝でロンドン五輪金メダルの李暁霞(中国)に敗れたが、2ゲームを先取するなど堂々と渡り合った。

 5月の世界ランクは11位まで上昇し、石川(6位)、福原愛(8位)に次ぐ日本選手3番手となった。来年のリオ五輪シングルスの代表権を勝ち取るためには、9月の同ランクで日本人2位になることが必要。3人目は団体戦要員として日本協会強化部が選考する。だが、女子日本代表の村上監督は「(ランクを覆して)4、5番手から選ぶことは監督の責任が大きくなり過ぎる」と、上位3人を選考する意向を示した。

 伊藤も「まだ決まったわけじゃない。毎試合、練習の成果を出すことが大事」と話し、休む間もなく13日開幕のベラルーシオープンに出場する。9月までに9大会を転戦。一般の部だけでなく、U-21(21歳以下部門)にも参加し、世界ランクに関わるポイント加算を狙う。ジュニアサーキットにも参加できる分、平野早(同15位)だけでなく、福原を抜いてシングルスの権利も得られる可能性もある。

 ◆伊藤美誠(いとう・みま)2000年(平12)10月21日、静岡県磐田市生まれ。2歳から卓球を始める。昨年3月、平野美宇と組む女子ダブルスで、ワールドツアー・ドイツオープンに13歳ペア史上最年少優勝。同12月のグランドファイナル(タイ)でも14歳で史上最年少制覇。身長153センチ。

 ◆卓球の世界ランキング 相手の実力差を考慮し、勝敗によって増減する各選手のレーティングポイント(RP)と大会成績によるボーナスポイント(BP)の合計で決まる。RPの増減とBP得点は大会の格で異なり、3月に伊藤が優勝したドイツオープンなどの「スーパーシリーズ」は、五輪と世界選手権に次ぐ扱い。

 ◆日本協会のリオデジャネイロ五輪出場選考基準 代表選手は男女各3人。(1)男女シングルス代表は15年9月発表の世界ランキング日本人上位2人(2)男女団体代表として上記2人に強化部推薦1人。国際競争力の実績と評価、メダルを獲得するために必要な国際競争力を持ち合わせている者と明記されている。なお、代表決定者が故障等で参加不能の場合は、(2)の基準で強化本部が決定する。