女子のエース、寺本明日香(20=中京大)が、ロンドン大会に続く五輪出場を確実にした。寺本はミスのない演技で4月の全日本優勝で持ち点トップの村上茉愛(19)を逆転。合計115・050点で3年ぶり2度目の優勝を果たし、2位村上、3位杉原愛子(16)とともに五輪代表候補入りした。6月の全日本種目別選手権後に決まる4人を加えた計7人から試技会などを経て代表5人が決まる。

 安定した強さを見せつけた寺本は、最後の床運動を終えると両親や仲間のいるスタンドに向かって何度も拳を振り上げた。「1つ1つ落ち着いて演技できた」。目標だった優勝での代表候補入りを果たし、淡々と試合を振り返った。

 優勝は「私の代名詞」という大技で決めた。3種目目の平均台、封印していたF難度の「後方伸身宙返り3回ひねり降り」に挑戦した。争う村上が落下した後でも「守ってはダメ。攻めた演技を」と自分を奮い立たせて成功。ただ1人14点台の14・350で、一気に優勝をたぐり寄せた。

 村上に逆転されて連覇を逃した4月の全日本選手権後は「投げやりになり、練習が嫌になった」。身が入らず、わざと遅刻した。小学生から師事するレジックの坂本周次コーチに「結果を考えずに、やることをやれ」と叱責(しっせき)され、目が覚めた。ジュニアの子らの励ましに「ミスを恐れず、私らしく笑顔で楽しく演技しよう」と決意した。「周りのみんなに感謝しています」と話した。

 まだ代表候補だが、女子の塚原千恵子監督は「この3人はチームの中心」と寺本らを「当確」とした。チーム最年少の16歳で臨んだロンドン五輪は怖いものなしで「若かった」と振り返る。大会直後のインタビューで「リオで頑張る」と宣言してから4年。リオでは「年上としてチームをまとめて盛り上げたい」と言い切った。昨年の世界選手権は団体総合5位。64年東京大会(銅メダル)以来の表彰台へ、20歳のエースが日本を引っ張る。【荻島弘一】

 ◆体操女子の五輪代表選考 4月の全日本選手権決勝得点を持ち点に争うNHK杯で個人総合の上位3人(寺本、村上、杉原)が候補に決定。6月の全日本種目別選手権後に、全日本選手権、NHK杯を含む3大会の結果から団体総合のチーム貢献度が高くなる選手4人を候補に追加(うち3人はNHK杯12位以内)。計7人の候補から合宿や試技会を経て7月に代表5人を決める。男子は5日のNHK杯で、すでに決まっている内村航平を除く個人総合最上位が決定。残り3人は全日本種目別後に決まる。