4回転の申し子が、SP首位に立った。17歳の全米王者ネーサン・チェンは、冒頭で必殺の4回転ルッツ-3回転トーループをさく裂させた。世界最高難度である、このジャンプだけで19・61点を獲得。続く4回転フリップも成功。技術点で出場選手中トップの59・58点をマーク。自己ベストを10点以上も更新するSP世界歴代3位の103・12点をたたき出して「とてもいい点数が出た。最高の気分」。

 4回転はルッツ、フリップ、サルコー、トーループと4種類を装備。シニア1年目にして昨年12月のGPファイナルでいきなり2位。今年1月の全米選手権ではフリーで衝撃的な4回転5発に成功した。米国オリンピック委員会の公式サイトが「世界初」と報じる快挙だった。「米国の地位を世界の舞台で再び高める。自分たちが米国をあるべきところに戻したい」。たくましく言い放つ17歳は、10年バンクーバー五輪金メダルのライサチェク以来2大会ぶりのメダルを期待されている。

 「五輪のイメージ通りの会場」と喜んだプレ五輪で堂々の首位発進。フィギュア大国の復権を目指して「自分にとってアイドルのような存在」という羽生に勝つために、フリーに挑む。