フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦の中国杯は7日、上海で開幕する。

 公式練習が6日に行われ、今季初戦に臨むソチ冬季五輪男子金メダリストの羽生結弦(ANA)は、新プログラムのお披露目が待ち遠しくなる公式練習の滑りを披露した。

 五輪王者として迎えるシーズンの初戦を翌日に控え、羽生は「もっと進化していきたいという気持ちがある」と決意を語った。昨季の五輪、世界選手権、GPファイナルの3冠に輝いても尽きることのない向上心。SP、フリーともに、進化を感じさせる見どころが満載だ。

 「オペラ座の怪人」を演じるフリーは前半にサルコーとトーループ、後半にトーループと計3度の4回転ジャンプを跳ぶ超高難度の構成に挑む。ショパンの「バラード第1番」で滑るSPの4回転トーループも今季から基礎点が1・1倍となる後半に組み込んだ。ただ「トーループだけに目がいくようなプログラムにはしたくない。自分のスケート、表現面を感じてもらいたい」と1つの作品に仕上げる思いは譲らない。

 心配された腰痛はジュニア時代からの「古傷」で「練習がきつくなったころに再発した」という。練習量を抑え、はり治療を受けてGP初戦にこぎ着けた。度重なる故障を乗り越えたサッカーの元イングランド代表MFベッカムを例に挙げ「どんな選手でも動けなくなったらどうしようもない。体のケアに対する意識はまた一段と変わった」。言葉の端々に、若き王者の風格が漂ってきた。