<テニス:ウィンブルドン・ジュニア選手権>◇11日目◇1日◇ロンドン、オールイングランドクラブ

 16歳以下日本NO・1の内田海智(16=大産大付高)が、4大大会のジュニア・シングルスで日本男子初の4強入りした。準決勝は全豪ジュニア準優勝のルーク・サビル(オーストラリア)にストレート負け。しかし前日の準々決勝ではジュニア世界10位のマテ・パビッチ(クロアチア)に、最終セット3本のマッチポイントを握られながら、4-6、7-6、10-8で大逆転勝ちした。

 感情を押し殺していた内田が、最後の最後でほえた。「ウォー!」。全身から勝利の雄たけびがほとばしった。準々決勝、残り1ポイントで敗れる崖っぷちからの生還に「夢みたいです。負けると思った」。しかし、すぐに「トップ10選手に逆転できたのは、僕が成長した証拠」と、いつもの“内田節”に戻った。

 相手のパビッチは190センチの長身。左利きから放たれるサーブに苦しんだ。最終セットの3-5まで1度も相手のサーブを破れなかった。しかし、土壇場の第9ゲームで「真ん中に返そうと思った」と、初のブレークに成功した。第10ゲームで奪われた最初のマッチポイントでは、内田のフォアがネットインするなど、運にも助けられた。

 6月の全仏ジュニア1回戦で左ひざを痛めた。帰国後、松岡修造さんが主催するキャンプに参加。「ウィンブルドンで優勝してきます」と宣言した。松岡さんは「そのケガで、お前ばかじゃないの」と一蹴したという。しかし、その宣言に迫る快挙だった。

 4強入りは日本人初の快挙。全仏、全豪のジュニアで8強に入った錦織を超えた。「顔や雰囲気が似てると言われるんですよ」。好きな芸能人は「いないんです。これから決めておかないとダメですね」。決勝進出こそ逃したが、歴史に名を残す大会となった。【吉松忠弘】