＜世界体操＞◇６日目◇１２日◇東京体育館

　日本が、まさかの銀メダルに終わった。予選を首位で突破した日本だが、２種目目のあん馬で、主将の小林研也（２７）が落下。最終種目の鉄棒で田中佑典（２１）、エースの内村航平（２２＝コナミ）が落下する痛恨のミス。合計２７３・０９３点で、世界選手権では１９７８年ストラスブール大会以来３３年ぶり６度目の金メダルはならなかった。

　田中兄弟にとって、悪夢の再現だった。最終種目の鉄棒。まず兄和仁がミスなく演技を終え、弟佑典が登場した。コバチ（後方抱え込み２回宙返り）に挑んだ。次の瞬間、お尻から、ドスンと落下した。この痛恨のミスが響き、得点は１４・２６６。昨年の大会でも、同じく最終の鉄棒で和仁が落下。僅差で中国に敗れ、銀メダルだった。その光景が繰り返された。

　佑典

　抱え込んだところから体を開く反応が遅れ、バーから手が遠ざかった。僕が成功していたら、内村選手も成功して金メダルを取れていたかもしれない。

　予選の床運動で後頭部を打ち、首後方部の靱帯（じんたい）が伸びたまま。テーピングで固めての演技だったが「首を言い訳にはしたくない」。そんな弟に兄は「昨年の自分を思い出した。弟には『よく頑張った』と言ってやりたい」と思いやった。スタンドから見つめた父章二さん（６１）は「惜しかった。でも種目別がまだある」。田中家の悲願は成就しなかった。それでも満足感がにじんだ。【佐藤隆志】