日本スポーツ界に衝撃が走った。国際オリンピック委員会(IOC)は12日の理事会で、20年五輪の「中核競技」からレスリングを外した。ロンドン五輪で金4、銅2を獲得したお家芸。東京も招致を目指す20年五輪での競技除外の危機に、日本の関係者は言葉を失った。

 JOCの竹田恒和会長は「ちょっと信じられない。まったく情報がなかった」と驚けば、市原則之専務理事も「日本の伝統競技。ショックだし、言葉が出ない」と落胆した。東京の五輪招致への直接的な影響について竹田会長は「まったく関係ない」と否定した。だが、レスリングの吉田沙保里は招致の顔。吉田を指導する日本代表の栄和人監督は「金メダル候補のいる女子レスリングが除外されたら、盛り上がらない。どうにかならないのか」と不満をあらわにした。

 3月4日からIOC評価委員会の東京現地調査が予定されている。レスリング会場になる東京ビッグサイトも視察の対象。招致を担当する東京都スポーツ振興局の雑賀真理事は「とにかく事実をきちんと確かめたい」と対応に追われた。柔道の暴力、パワハラ問題に続く、ネガティブな話題。9月の開催都市決定に向けたムードは完全に水を差された。

 ◆夏の五輪競技の採用と除外

 最近では88年ソウル五輪から卓球とテニス、00年シドニー五輪からはテコンドーとトライアスロンが採用された。05年7月のIOC総会で、12年ロンドン五輪から野球とソフトボールの除外が決定。09年8月のIOC理事会では、16年リオ五輪からラグビー(7人制)とゴルフを採用した。ラグビーは15人制で行われた1924年パリ大会以来の五輪復帰になった。