<カーリング:日本選手権>◇最終日◇17日◇札幌市どうぎんカーリングスタジアム

 「美しすぎるカー娘」こと市川美余(23)の中部電力が、初めて世界切符を手にした。準決勝でロコ・ソラーレ(LS)北見を9-6、決勝で北海道銀行を9-4で連破。3連覇を達成して、3月の世界選手権(ラトビア)出場権を手にした。世界舞台でソチ五輪出場枠の獲得を目指し好成績を狙う。男子は、SC軽井沢クが8-4でチーム北見を倒して4年ぶり4度目の優勝。中部電力と同じく、今春の世界選手権に出場する。

 市川が、目を見開いて口にした。「世界選手権は初めてなので。他国がどんな感じか。目、耳、鼻、全部で感じてきたい」。目標のソチ五輪前の「世界デビュー」に胸を躍らせた。

 3連覇で国内最強を証明した。決勝の北海道銀行戦。1点リードの第6エンド、ハウスに石を集めた。4点が確定させて、さらにスキップ藤沢が円左側に寄せて大量5得点。市川は「今日はおとこ気あふれるプレーで100点満点だった」と胸を張る。準決勝で「マリリン」こと本橋麻里(26)のLS北見との“美人対決”に勝利。五輪2度出場の小笠原、船山の「カーリングママさん」も大差で下して、世界切符をゲット。「(昨年12月に)自分たちでとった切符だから。誰にも譲りたくない。本当にうれしい」。スタンドの声援に左手を上げて応えた。

 華やかな外見とは裏腹に、プレースタイルは武骨だ。約20キロの石をはじき飛ばす。男子並みのスピードに乗ったショットを追求する。市川は「男らしいカーリング」と言う。昨年12月にパシフィック選手権決勝で中国に敗北。その後は同じ長野に本拠を置く男子のSC軽井沢クと練習試合を敢行。連敗続きだったが、大会前には2試合で1試合は勝ち始めた。この日の男子で優勝した相手がスパーリング相手。軽井沢では中学校にカーリング部も創部された。市川たちの歩みを地域でバックアップしている。

 目標は世界しかない。1日3部練習=約6時間も氷上で過ごすこともある。今大会は6日間で10試合のハード日程も、北海道名物のジンギスカンをぺろりと平らげてパワーを充電した。

 次はソチ五輪切符をかけて世界選手権に臨む。市川は「これまで通りやれば、上位を狙えると思っている」。創部4年で日本一に3度輝いた。満を持して世界に向かう。【益田一弘】

 ◆ソチ五輪への道

 カーリング女子ソチ五輪出場枠は開催国ロシアを含めて10チーム。昨年と今年3月にラトビアで行われる世界選手権2大会の成績で7チームが決定。残る2枠は12月の世界最終予選で決まる。日本は昨年の世界選手権不出場のため、五輪切符を得るには好成績が必要。世界選手権には今大会(日本選手権)優勝した中部電力が出場する。出場権を獲得しても国内の代表選考が9月に行われ、中部電力と日本選手権の上位3チームで争う。世界最終予選に回った場合も代表選考会で勝ち残ったチームが出場する。