国際オリンピック委員会(IOC)理事会は、20年夏季五輪で実施する最後の1競技に、最終候補としてレスリング、野球・ソフトボール、スカッシュの3競技を選んだ。

 スカッシュのプロ選手として活躍する松井千夏(35)が30日、「脱マイナー」を提案した。日本での認知度はいまひとつだが、英国発祥のスカッシュは欧州はもちろん、エジプトやインドでも人気スポーツだ。

 日本でも注目度が上がりつつある。前夜、スカッシュが五輪競技候補に残ったことを受け、この日は大反響。練習拠点にしている専門施設に問い合わせが急増し、平日の昼間の体験教室も予約でいっぱい。「見ていただいて、さらに実際に体験してもらえたら楽しさが伝わると思う」。スカッシュの強みは、どこでもプレーできること。持ち運びできる組み立てコートがあれば、場所も天候も関係ない。全面ガラス張りのコートを設置すれば、迫力あるプレーを間近で見ることができる。

 エジプトでは、ピラミッドの前にガラス張りのコートが設置され、女子プロツアーを開催。ショッピングセンターや駅などで組み立てコートを使った大会も多い。例えば「六本木やみなとみらい」(松井)でも、実施できる。

 日本だけでなく、世界的な機運の高まりは五輪競技入りへ欠かせない。「これがきっかけとなって、どんどん出していきたい。楽しさを伝えるのが、私たちの役割だと思います」と話した。【保坂恭子】<スカッシュ>

 ◆ルール

 縦9・75メートル、横9・4メートル、高さ5・6メートルの、前後左右4面の壁と床に囲まれたスペースで、ラケットを使い2人か4人で交互に球を打ち合う。2バウンドは無効。正面の壁に1度は当てる必要がある。1ゲームは11点先取で、1試合は5ゲームマッチで3ゲーム先取。

 ◆競技人口

 世界185以上の国や地域で約2000万人。国内では競技人口1万人で愛好者は10万人。強豪国はエジプト、英国、インドなど。

 ◆五輪への道

 五輪競技経験はない。08年北京、12年ロンドン五輪では候補になるが落選。09年から短時間で勝負がつくラリーポイント制を導入して、11年IOC本部のあるスイス・ローザンヌに事務所を開設し、ロビー活動にも余念がない。