<男子テニス:パリマスターズ>◇第3日◇29日◇パリ◇男子シングルス2回戦

 世界7位の錦織圭(24=日清食品)が、3週間ぶりの復帰戦を白星で飾った。元世界5位で、先週のバレンシアオープン準優勝のロブレド(スペイン)を6-7、6-2、6-3の逆転で下した。今年の勝ち星は、今季7人目の50勝目となった。3回戦に進んだことで、11月9日開幕のツアー最終戦ATPツアー・ファイナル出場に1歩前進した。

 8月下旬の全米から、マレーシア、楽天と3大会連続決勝進出で2度の優勝。疲労と右でん部の痛みで、9日の上海は初戦負け。それ以来の試合となった錦織は「プレーは悪くない。結果に満足している」と、完全リフレッシュ。自らのサービスゲームを1度も落とさず、難敵を突き放した。

 第1セットはタイブレークで落とした。しかし、サーブでブレークポイントさえ握らせず、内容は完全に錦織が押していた。「タイブレークは運が大きい」と話すように、小さいミスで、このセットを逃した。それでも「焦っていなかった」と言うように、第2セットから圧倒した。

 今年、休養明けの錦織は抜群の強さを誇る。3月のマイアミで股関節の痛みが再発。約1カ月休養し、復帰初戦のバルセロナで、クレー大会初優勝を遂げた。右足のできものを手術し、これも1カ月の休養で挑んだ全米は、一気に準優勝まで駆け上がった。この日も「もう、どこにも異常がない」と、万全だった。

 この日の勝利で、今季のツアー本戦50勝目を挙げた。過去の自身最多は12年の37勝だから、今年の好調さがうかがえる。また、今季室内大会では負けなしの11戦全勝と無類の強さを誇る。パワーで外国勢に劣る錦織にとって、風や気温などの外敵に悩まされない室内は、最高の環境だ。

 年間獲得ポイント上位8人だけが出場できる最終戦に向け、今大会が最終決戦だ。ライバルたちと激しい争いが続くが、「楽しむことはできないが、経験だと思って」と割り切る。心身ともに完全リフレッシュした日本のエースに死角はない。