TKbjリーグの大阪が、日本バスケットボール界で初めて本拠地アリーナを保有することが4日までに決まった。収容人員7000人の舞洲アリーナのある大阪市と定期賃貸借契約を結んだ。期間は今年4月1日から10年間。TKbjリーグだけでなく、もう1つのトップリーグNBLでも本拠地アリーナを持つクラブはない。国際バスケットボール連盟(FIBA)のタスクフォースが掲げる、新リーグ加入条件の1つをクリアした。

 理想のクラブへ、大きな1歩をしるした。TKbjリーグの大阪は、約7000人収容の舞洲アリーナに関して、大阪市と10年間の長期賃貸借契約を結んだ。バスケットボール界では初の本拠地アリーナに大阪の佐伯敬次社長は「やっとクラブの総本山ができます」と悲願達成を喜んだ。

 従来は他のクラブ同様に、試合、練習ごとに移動を余儀なくされた。大阪では北は池田市から南は岸和田市まで。チーム名は大阪を名乗りながら兵庫・神戸、尼崎でも試合をしてきた。チームのホームページのホームタウン欄には大阪ではなく「関西文化圏」。本来は大阪だが、本拠地がないための苦肉の策だった。

 本拠地が大阪市内に固定することで、クラブとしての相乗効果は大きい。大阪市への賃貸料は年間1000万円以下と従来の会場費の約4分の1。浮いた経費は選手への人件費、小中学生のバスケットボールスクール、チアのダンススクールへの費用にも回せる。結成から10年。地域密着型のクラブとして、さらに進化しそうだ。

 FIBAは、NBLとTKbjリーグの統合問題を解決するため、先月タスクフォースを立ち上げた。チェアマンに就任した日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏は、自ら設立したJリーグのように市民、行政、企業の三位一体による地域密着のクラブを理想として掲げた。本拠地アリーナを得たことは、新リーグ加入に向けても1歩前進した。

 NBL、TKbjリーグの各クラブは新リーグへの生き残りを目指す。TKbjリーグでは、大阪以外に秋田、群馬、信州、滋賀、琉球でも本拠地アリーナを保有する計画が進んでいる。FIBAタスクフォースの存在が、各クラブの地域密着化を促進しそうだ。

 ◆大阪エヴェッサ

 05年6月7日に設立され、bjリーグ初年度から参戦。初年度の05年度から3連覇を達成。その後も09年度に優勝している。今季は17勝13敗で現在西地区の5位。チーム名のエヴェッサは「戎(えびす)様」を親しみを込めて「えべっさん」と呼ぶことから、大阪を活気づける存在になるため命名。チームカラーは赤、黒、金。

 ◆バスケットボールの一連の問題

 昨年11月、日本協会はFIBAから無期限の国際試合出場停止処分を受けた。問題は(1)協会のガバナンス(組織統治)(2)男子リーグのNBLとTKbjの統合(3)男女代表チームの強化体制確立の3点。FIBAは先月、川淵チェアマンを中心とする10人のタスクフォース(プロジェクトチーム)を発足。男子のリオデジャネイロ五輪予選が予定される6月までに、統一された新リーグ設立を含めた問題解決を目指している。