8月に大麻所持容疑で警視庁に逮捕された元前頭若ノ鵬(20=本名・ガグロエフ・ソスラン)が9日、解雇された日本相撲協会を訪れ「再雇用」を嘆願した。代理人の竹内栄弁護士とともに、両国国技館の理事長室で武蔵川理事長らに謝罪。長髪を後頭部で結び、黒の羽織はかま姿で「どうしても相撲を取りたいです。(まげを)切るつもりはない」と沈痛な表情で話した。

 逮捕3日後の8月21日、現役力士初の解雇処分を受けた。竹内弁護士は「過去の協会の不祥事と比べても処分が重すぎる」と、昨年の時津風部屋序ノ口力士死亡事件を例に出した。同事件で傷害致死罪で起訴された兄弟子3人は「有罪確定なら解雇」で出場停止中。元若ノ鵬は逮捕直後に解雇され「人が亡くなっていますけど、(時津風部屋の兄弟子は)現在も解雇処分されてません」と、展開次第で法的手続きに訴える考えを明かした。

 だが、現在の規則では「復帰」は不可能だ。協会の行動規範を定めた「寄附行為」の第96条には「協会所属員にして、引退・解雇・除名または脱走した者は、再び協会に帰属することができない」と明記してある。九重広報部長(元横綱千代の富士)は「涙ながらに反省していたが、処分を変えることはできない」と話した。

 元若ノ鵬は8日夜に、在籍していた間垣部屋を訪れたが、間垣親方(元横綱2代目若乃花)は不在。「お弟子さんから『部屋にはもう来ないように』という親方の言葉を聞きました」と門前払いされたいう。法を犯した代償の大きさを、あらためて感じていた。