横綱審議委員会(横審)も、ふがいない大関たちに黙っていられなかった。30日、東京・両国国技館で横審が開かれた。原則として横綱について審議する会合だが、大半の委員が、1場所15日制以降の大関で最低の成績となる2勝13敗に終わった千代大海(32=九重)ら5人の大関陣について言及。かど番5回で関脇に降格させるなどの意見が出た。

 横審が大関陣に物申した。非公開で行われた約30分の委員会を終えた後、沢村田之助委員がその内容の一部を報道陣に語った。

 沢村委員

 千代大海が、来場所でかど番13回(史上最多)という記録は、威張れる記録ではないですよね。各委員も思っていて、委員会では「かど番5回で1つ格を下げる」とか「年齢によっては引退を勧告する」とかいう案が出ました。

 春場所で5人の大関陣は、相撲ファンを失望させた。日馬富士、琴欧洲は10勝したが、早々と優勝争いから離脱した。魁皇、琴光喜は8勝7敗で、千代大海は1場所15日制が定着した1949年(昭24)夏場所以降、皆勤した大関で最も悪い2勝13敗に終わった。石橋委員は「出場すればいいってもんじゃない。大関としての品格の問題」。沢村委員は「今の大関に横綱に上がれそうな人は見当たらない」と断じた。

 横審は協会の諮問機関で、協会規定を決める権限はない。委員会での武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)も「どの大関も投げやりにやっているわけではない」と、かど番規定の改定には消極的だったという。千代大海の師匠でもある九重貢広報部長も「(春場所は)本人に気力があったので、出場し続けることを認めたが、来場所に向けて体調を整えないと、大変なことになる。ただ、10年も大関をやっていれば、かど番が増えるのは仕方ないという思いもある」と釈明した。

 だが、夏場所の千代大海だけでなく初場所の魁皇、春場所の琴光喜と、かど番大関が続く現状が、両横綱の独走を許す要因になっていることは間違いない。夏場所で再び大関陣がふがいない成績なら、再び横審で「かど番規定改定要求」が出てきそうだ。【柳田通斉】