史上初の“白まわし教習生”が誕生した。大相撲秋場所(9月15日初日、両国国技館)で所要3場所の史上最速新入幕が確実な十両遠藤(22=追手風)が30日、国技館内の相撲教習所で初めて、関取の証しの白まわしで実技授業に臨んだ。

 春場所でデビューし、4月から通う最後3期目の教習所生活。かつて武双山らが教習中に関取となったが、当時の幕下付け出し力士は実技免除で、白まわしで稽古した力士はいなかった。前日は学科のみ参加した遠藤はこの日、初めて黒まわしの教習生約50人に交じって土俵へ。際立つ姿で基本動作やすり足を繰り返した。相撲こそ取らなかったが「やることは変わらない。教習所のための稽古でも、稽古のために稽古するわけでもない。来場所のための稽古。自分のペースでやっていく」と己を貫いた。

 実技後の学科授業では、習字に取り組んだ。2日からは初めて巡業に参加する。「楽しみ半分、不安半分。自分の相撲を取れるようにしたい」と、初めてずくめを味わおうとしていた。

 ◆相撲教習所

 1957年(昭32)10月に開所された新弟子の教育機関。両国国技館に併設され、所長には理事が就く。現所長は出羽海親方(元関脇鷲羽山)。1、5、9月の東京場所後に卒業・入所式を開催。半年間通うが、授業態度などで「留年」もある。実技は午前7時から約3時間、その後に学科を行い、曜日ごとに「相撲史」「運動医学」「相撲甚句」「国語(習字)」「社会学」「修行の心得」と分かれている。