2つの武器を封じられた広島が、ソフトバンクの勢いにのまれつつある。今季リーグトップだった盗塁が今シリーズはゼロ。打線の核である丸が、シリーズ打率1割台に沈む。日刊スポーツ評論家の三浦大輔氏(44)は、この武器の復活が巻き返しに不可欠と指摘した。
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勢いに乗り切れない広島打線。丸の不振が大きく響いている。
第1打席は、1回1死一塁で右中間を破る二塁打を放ったが、カウント3-0から。変化球が3球続けてボールとなった後の高めの直球1本狙いで捉えた。球種を絞りやすい状況での一打だったが、これが先制適時打になっていれば、結果が伴ったことで復調へのきっかけとなったかもしれない。しかし、ソフトバンク柳田-明石の完璧な中継プレーで一塁走者の菊池は本塁憤死。相手の堅守で、その芽が摘まれた。
続く第2打席は2球目の外角高めのシンカーを打って二ゴロ。自分のタイミングでなく、打たされた感が強かった。第3打席は初球のカーブに手を出して二飛。狙っていた球ではないはずで、丸の中で「合わない」と思ってもバットが止まらない印象だった。そして8回の4打席目は内角高めの速球に詰まらされて右飛に終わった。
日本シリーズに入っての丸は、内からバットが出てなく、外回りのドアスイングとなっている。この日の試合前はポイントを前に置き、ほとんどの球を右翼フェアゾーンに運ぶ打撃練習を繰り返していた。遠回りのスイングでポイントを前にした球を引っ張ってしまうと、打球はファウルとなる。インサイドアウトを意識し、そういう打球にならないように取り組む姿勢から、自身も問題点を認識しているのだろう。
1本でも結果が出れば気持ち的なゆとりも生まれると思うが、逆にソフトバンクにしてみれば、このまま抑え込んでおきたいはず。自分の経験から考えると、第1打席のようにカウント不利にせず、球種を絞らせないことを徹底すれば眠らせたままにしておけるだろう。
そして広島のもう1つの武器である足が、完全に封じ込められている。これは甲斐の強肩が“抑止力”として効いている。5回に安部の二盗が刺されたのを含め、このシリーズ4回の盗塁企図を全て失敗している。その象徴的なシーンが6回だった。先頭の田中が四球を選び、無死一塁。2点を追う状況で、シーズン中であれば盗塁、エンドランと攻め手があったはず。しかし次打者菊池の打席で全く動けず、得点に結び付けられなかった。
仕掛けるメリットよりもデメリットの方が大きいというベンチの判断なのだろうが、本来の戦い方ができないとレギュラーシーズンで見せた逆転劇につなげることは難しい。
打線の中で4番鈴木の調子がいいだけに、丸の不調、そして足でかき回せないのは痛い。ヤフオクドームでの2試合で挙げた9得点のうち、ホームランで挙げた得点が8点にのぼる。流れはソフトバンクに傾いているが、広島が1つでも盗塁を決め、丸が復調の兆しをつかめばシリーズの行方はまだまだ分からない。(日刊スポーツ評論家)





