阪神にとっては価値のある1勝だった。ここにきて首位の座をとって代わられ、まだシーズン41試合を残しているとはいえ、巨人との直接対決で負けるとダメージは大きかった。

大幅に打線を組み替えた阪神が巨人戸郷を打ちあぐねたのは打ち損じが目立っていた。戸郷は好調だとは思わなかったから、粘り強く攻めればチャンスありと読んでいた。

7番大山の働きが勝因だ。3点を追う6回は先頭打者として中前打が起点となって、続く代打糸井の右二塁打で1点を返した。7回は戸郷の初球フォークを左二塁打で同点とした。

逆に3点リードした巨人は7回に戸郷からの継投を選択し、リリーフ陣をつぎ込んでくると思っていた。阪神は続投した戸郷の甘くなった投球につけ込むことができた。

その後は7回2死満塁から1番中野が食らいついて勝ち越しの3点打を放った。サンズの体調などは分からないが、今後は近本をトップに、大山をクリーンアップに戻して戦うべきだ。

またチーム浮上は、新人佐藤輝を復調させ、どのタイミングでスタメンに復帰させるかもポイントになる。自信をなくしているようにもみえるが、ここは克服してほしい。

これで巨人との対戦成績は8勝8敗になった。阪神のリーグ優勝は巨人に勝ち越すことが絶対条件だから、なんとしてもこの3連戦は勝ち越して勢いをつけたいものだ

巨人の戦いをみていると今が精いっぱい。ヤクルトは外国人の働きが目立って不気味だが、三つどもえから抜け出すチームは見当たらない。勝負はこれからの阪神は今の貯金15を20まで積み上げたい。(日刊スポーツ客員評論家)

阪神対巨人 7回裏阪神1死満塁、左翼線に同点となる2点適時二塁打を放ちガッツポーズする大山(撮影・前田充)
阪神対巨人 7回裏阪神1死満塁、左翼線に同点となる2点適時二塁打を放ちガッツポーズする大山(撮影・前田充)