開幕マウンドに立つ阪神青柳晃洋投手、中日大野雄大投手は順調に仕上がっている。初めて開幕投手に指名された青柳は、独特の雰囲気にのまれないよう、いかに自分のペースで投げることができるかだろう。

今までは徹底して低めに投じながらゴロを打たせる投球スタイルだったが、相手打者に慣れられてきた感があった。新聞紙上からは今年は高めに配し、左打者の近めを攻めることに取り組んでいるらしい。

それは前々から指摘したことだが、この試合では同一リーグの中日相手であることを意識してか、そのあたりの配球は見せていなかったようだ。投球の幅を広げたことがいいほうに出れば好結果を生むだろう。

また、開幕4番が話題になっている佐藤輝の打席からは、まだオープン戦で試しているように見受けられた。投手側からみると、強引に振ってくるというより、“さばいている”という印象が強い。

その意味では1年前のほうが迫力を感じたが、簡単に三振しない、アベレージも残したいという考えなのかもしれない。本番になればピッチャーの攻め方も変わってくるから、どう対応するかにかかっている。

2週間後に迫った今年の開幕は、昨シーズンとまったく趣の異なった戦法が求められる。入場制限が緩和され、東京五輪開催に伴うブレークもなく、延長12回制導入もあって、もつれる展開が増えそうだ。

昨季は矢野監督が投打とも早めに手を打ちながら戦ったことが開幕ダッシュの成功につながった。それは巨人原監督の継投にも言えることだった。そこはどのチームもオーソドックスな戦法に戻るのだろう。

例えば6回、ロハスの適時二塁打で勝ち越し後、なお無死二塁で、ベンチが6番梅野に犠打を指示した。後続は断たれて得点できなかったが、今シーズンの戦い方として正攻法を想定したものと受け取った。

昨季はあれだけ独走気配でも勝ちきれなかった。投打両面で、個々がもう一段階、力を上げないと簡単には勝ちきれない。戦力層の勝負になるから、そのコマを見極めながら使い分ける監督の采配が明暗を分けるとみている。(日刊スポーツ評論家)

阪神対中日 7回1失点と好投した青柳は熊谷の好プレーに拍手を送る(撮影・上田博志)
阪神対中日 7回1失点と好投した青柳は熊谷の好プレーに拍手を送る(撮影・上田博志)